夏目漱石
夜中に目覚めたときは時間をとても持てあますものです。そんなときの暇つぶしを最近見つけました。それは「青空文庫」をI-PADで読みながら同時に「audible」で同じ作品を朗読で聴くというものです。
「Audible」で夏目漱石の『千鳥』の朗読を聞きました。この小品には漱石の純愛(の思い出)がさりげなく語られています。一昨年のNHKのドラマ「夏目漱石の妻」ではそのモデルを大塚楠緒子であるとし、壇蜜さんが演じていたようです。様々なモデル説がある…
大雪は読書日和でもあります。しんしんと降る雪に心が落ち着き、久しぶりに数冊の本を読みだめできました。
眠れぬ初冬の夜中、寺田寅彦の随筆を読み珠玉の文章にますます目が冴えてしまいました。彼が漱石に勧められて最初に書いた随筆「団栗(どんぐり)」は衝撃的でもありました。
故井上ひさしさんの娘が、「おやじのせなか」(新聞コラム)に父への憎しみと和解について書いていました。そういえば漱石にも似たようなことがあったな?と本棚を探してみました。
私は「豆腐屋」にあこがれたことがあります。それは夏目漱石の「二百十日」という短編を読んだ頃のことでした。大荒れの阿蘇山に登る、へなちょこ「碌さん」と同宿の豆腐屋「圭さん」、その「圭さん」のバイタリティーにいたく感激したからでした。十代の頃…
「硝子戸の中」で、漱石は彼の永遠の恋人大塚楠緒子(くすおこ)との最後の出会いの情景を実に感情を抑えた筆致で描いています。しかしその文章とはうらはらに、漱石が楠緒子にたむけた句は漱石の熱情と慟哭がほとばしるものでした。 「ある程の菊投げ入れよ…