「愉快な町」にあるいろんなゾーン。中心の山を囲む畑の周りには「みんなの場所」があります。そこにある「ヘルプハウス」っていったい何でしょう?
建設中の「愉快な町」のあれこれを紹介しています。今日はその3回目です。
バウムクーヘンのような放射状の町の見取り図は「愉快な町 その1」で紹介しました。
町の真ん中にある「山」、その周りにある「畑」、そこを囲んで「みんなの場所」があります。
「みんなの場所」にある様々なユニークな施設は「愉快な町 その2」で紹介しましたが、まだお見せしていない施設もいくつかあります。
今日は「ヘルプハウス」にご案内いたします。
<開かれた町>
この町は閉じた社会ではないんです。むしろ、多くの人々がこの町と往き来し、共感が増え、ますます開かれていく町をめざしているのです。
それは住民が増えていくということではないんです。近隣の人々と、あるいはネットを通して、往き来、つまりコミュニケーションや交換が増えていくということなのです。
それも、金銭的な利益だけで増殖していく町ではなく、人の「まごころ」で栄える町にしていきたいのです。さまざまな世代のさまざまな境遇の人たちと。
全体から見れば、それが社会というものです。
何回も書くんですが、「愉快な町」というのは共同集団ではないんです。基本的に普通の住宅地と同じなんです。違うのは「自然資源や共同施設、コミュニケーションのしくみを最初から特別に工夫して造られた町」だということです。
<町の理念「ヘルプハウス」>
「愉快な町」にはいくつかの基本理念があります。そのひとつが「助け合い」です。
さて、私たちはみんなリスクを抱えて生きています。健康、経済、人間関係・・・。
世の中には、そのリスクからうまく逃れられている人と、逃れられずに困っている人がいます。程度はさまざまですが。
実は、みんながそのリスクを持っているという点で私たちは共通なのです。
「愉快な町」では、リスクから逃れきれずに困っている人を仲間と思い、自分たちのできる範囲で「回復」のお手伝いをします。その施設が「ヘルプハウス」なんです。
ま〜たとえて言うと「町全体が江戸の長屋」なんです。
いつまでも「助け合い」を行政だけに丸投げしていてはしっぺ返しがやってきます。私たちも、新たな無理のない方法で本来の「助け合い」を工夫し、自らも一部を負担する覚悟を持たねば、社会はきっと人間性を失っていくことでしょう。
<パートナーと連携し多様に運用>
「ヘルプハウス」って、いったいどんなことをするかって?
これが実に難しい。。。それで町役場や町の福祉施設やNPOと、実際の利用者の選定や施設の活用方法のことを相談して運用していきます。彼らを「ヘルプパートナー」とよびます。
「ヘルプハウス」の中は、だいたい「シェアハウス」と同じです。共有コーナーが充実し、個室は5部屋あります。
野菜は町の共同農園から無料差し入れです。他のことは「ヘルプパートナー」と相談しながらケースバイケースで弾力的に行います。
町の農園手伝いとか、つどいホールや地域コンビニの軽作業、やる気があればショップハウスにトライしてもらうとか、、最低かもしれないが生活を成り立たせる何らかの仕事を住民で考え応援していきます。
それにしたって、できる範囲内で無理せずに。本来は3ヶ月間以内の入居ですが、これもケースバイケースです。どちらにも無理が少ない方法を選択していきます。
<小さな実践が「愉快」の源>
大事なのは規模とかではなくて「考え方」です。
私たちの社会は「でこみへこみ」で成り立っているのだから、「でこみ」だけ求めず、それを過剰に守らず、積極的に「へこみ」を受け入れ、「でこみへこみ」の差を縮めていこうよ、という考え方です。
やれることはとても小さいことです。しかし小さいことでもやる、続ける、ということをみんなで納得しているからこそ、この町が「愉快」であるということなのです。
たぶんヘルプハウスが空き室になることはないでしょう。でも部屋が回転し、そのうち何人かに仕事をを見つけてあげられたりしたら、私たちもどんなに愉快で幸せなことでしょう。
<「みんなの場所」が成り立つしくみ>
「愉快な町」には「つどいホール」「ワークハウス」「ケアハウス」「ヘルプハウス」など、さまざまな共益・福祉施設があるけどいったいお金はどうするの?
心配ないんです! 収益を得るしくみを町自身が持っているのです。収支の管理を行うのは「地域コンビニ」です。
「地域コンビニ」はとてもユニークな組織ですから、あとで別なブログに詳しく書きます。ここでは簡単に説明します。
収益は「地域コンビニの収益」「「町の施設の収益」「町民の会費」の三つがあります。管理はすべて「地域コンビニ」で行いますが。
<「地域コンビニ」が収益を支える>
「地域コンビニ」はコンビニ本部と住民(それもこの町以外の人をも含めた)で構成する「生協」的、「道の駅」的な組織です。
店を作ってから売るのではありません。作る前に会員を集め、個々の取引契約をすませ、多様なサービスを行い、その労働を地元町民でになうシステムなのです。
会員だって必要な人数を近隣から、あるいはネットから集めるので数に不足することはありません。何せユニークなしくみなので、町以外の人にもとても魅力的で重宝な店なのです。
最初から必要利益を確保できるようにしてからスタートするというのが「愉快な町」の方針です。
<無理のない小さな収益>
それと町では売電もします。ケアハウスの入居者を近隣から集めます。それに町自体も自営店が栄え、魅力が増えて多くの客が訪れます。共同農園では面白い作物を出荷します。山では月1−2回面白い企画をします。
つまり、必要なお金は「町自体で無理なく細かい仕事で生み出していく」ことができるのです。
「ヘルプハウス」ぐらいの運営なんかなんともありません。寄付とか助成金も少しはあるでしょう。「つどいホール」なんかも、その中でマイクロビジネスを企画すれば収益が出せます。
それと町民の会費、これの名前は「愉快の会費」です。これは月1万円です。50戸の所帯なら月50万円の収益があります。これだけ負担しても、得するしくみがあるので、だれでも納得です。
次回は「ショップハウス」と、その施設がもたらす「新しい自営」について紹介していきます。
参考
(「愉快な町」)
愉快な町の「ユカイ塾」
愉快な町のエネルギー
愉快な町の「地域コンビニ」
愉快な町の「住宅街」
愉快な町のショップハウス
愉快な町のヘルプハウス
愉快な町 その2
愉快な町 その1