いつか来た道、いつも来る道、いつも迷う道。またこの道か。。。『ノボ辞典』に書き込んでおこう。いつかだれもが笑って歩ける道となるように。
道には看板が立っています。『愛国への道』と。
今回のテーマは『愛国心』と『愛国主義』です。
ノボ辞典より
patriotism【愛国心】名
自分や家族、仲間を生かし育んでいる「自然」や「くらし」「絆」に対する感謝と親愛の情。
まともな人間であれば、すべての国の人々が共通に持つ、最も基本的な人間感情である。
しかし、社会生活が複雑化していく中で、全世界的に、愛国心の内容が変わりつつある。
「共感」の対象は、「自然」や「くらし」から「経済価値」や「歴史」に代わり、
「感謝」の念は、他の国より優れているという「優越感」に代わりつつある。
これらを加速しているのは、落選を防ごうと必死な「政治屋」の言動と「無理の大きい経済システム」である。
変容した「愛国心」は矛盾した論理と行動を生み出している。
「平和のために戦争を!」「愛する者のために殺し合いを!」と、双方が叫んでいる。
その結果、愛国心の原点である「自然」も「くらし」も壊滅に向かうことがしばしばである。
また、もともとの「愛国心」を持つ人々に対して「非国民」という呼び方が定着してきている。
とても不思議なことである。
ノボ辞典より
nationalism【愛国主義】名
「国家主義」「民族主義」「国粋主義」とも言われる「点火剤」である。
「天は、人の上に人をつくらず、人の上に国をつくる」という考え方が、そのすべてである。
デザインセンスが異様に突出している人が多く、「シンボル」や「形式」に対して異常な執着を示すことが特徴である。
それは「旗」であったり、「敬礼」であったり、特殊な定義をした「曲」であったりする。
これが過ぎると「誇大妄想狂」となり、ヒトラーに見られるがごとく、世界を不安に陥れる。
ただし、人の心への「点火剤」として、これに過ぎるものはなく、権力者にとってこれほど貴重なものはない。
具体的な展開では、まず「敵」を設定し、「威厳」「宣伝」「暴力」の要素を組み込むことが特徴である。
一度点火した火を消す方法はないため、山火事のように丸焼けになってから「悲惨さ」に気づく。
「愛国主義」をたきつける人々は、「自分が傷つくことはない」ことを確信している人々である。
「愛国主義」に魅力を感じる人は、「人の頭」で考えてもらい、「人の威光」でわが身を照らしたい、という気持ちを隠したい人である。
なにゆえ危険なこの思想が絶えないかといえば、「疑心暗鬼」こそ、あらゆる人間に共通な特徴だからである。
つまり「安心できるわけがない。向こうの国にも『俺』がいる」と。
知らない人も多いが、『スター・ウォーズ』は、まさにこの物語である。
参考までにビアスの『悪魔の辞典』から引用します。(筒井康隆訳がわかりやすいのでそちらで)
『悪魔の辞典』より
patoriot【愛国者】名
全体の利益よりもー部分の利益の方が大事だと考えている人。政治家のカモ。征服者の道具。
patoriotism【愛国心】名
わが名を輝かせようという野心を持った人間が松明を持って近づくと、すぐに燃えあがるゴミ。サミュエル・ジョンソン博士の有名な辞書では「悪党が最後に訴えかけるもの」と定義されている。よき啓蒙者ではあるが、辞書編纂者としては劣っている博士に、当然の敬意は払いながらも、わたしはそれを「最初に」と訂正させていただきたい。
『ノボ辞典』目次
ノボ辞典「オリンピック」
ノボ辞典「デジタル」
ノボ辞典「丁寧」
ノボ辞典「農」「農業」
ノボ辞典「経済」
ノボ辞典「憲法九条」
ノボ辞典「選挙」
ノボ辞典「反面教師」
ノボ辞典「必要悪」
ノボ辞典「愛国心」「愛国主義」
ノボ辞典「能力」「性能」