ノボ辞典「憲法九条」

 失なう前にもう一度振り返ってみたいものです。それがどれほど私たちを守ってきてくれたのかを。とても秘かだったので目をこらさなければ見えないことでしょう。

ノボ辞典より

Article 9 of the Japanese Constitution【憲法九条】名

 「憲法九条」とは「真珠」である。

 世界でただひとつの貴重な宝石である。

 貝が長年かけて自らの生命の一部として真珠を育くむように、人類が血の海の中で何千年もかけ、秘かに大切に育て上げた宝石である。

 とても地味であるが、奥深き清楚な輝きで人々の心を照らす人類の宝物である。

 そして多くの人が誤解しているが、実は、最強の「防衛力」でもある。

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 わが日本に偶然にしてその真珠がもたらされた。

 まるで原爆の惨禍に対して天が慈悲の涙を落とされたように。

 それは「憲法」という器に納められ、敗戦から今に至るまで三種の神器のごとき存在となった。

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 しかし、この宝石は実にやっかいなものでもあった。

 為政者は常にこの真珠の指輪を付けねばならなかった。

 指輪はとても窮屈で為政者に痛みを与えることも多かった。

 猛き為政者が外国に行くときは恥ずかしく思う者もいた。

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 このような言葉を浴びせられるからだった。

 「なんで、男が女のように指輪なんか付けてんだ?女々しい!」

 「そんな宝石など付けずに俺と一緒に戦え!悪を倒せ!」

 「他と同じようにやれ!」

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 二通りの日本人がいた。

 「おれたちに必要なのは、地味な真珠なぞよりピカピカの金(きん)だ!くびきを外せ!」

 「地味な真珠が私たちを守っているんだな〜、よくよく考えてみると。価値を再発見しよう!」

 この二通りの日本人が拮抗しながら、なんとか真珠の指輪はかろうじて日本に在り続けた。

 指輪をぎりぎり外さない程度に、他の国なみの自衛兵器を持って。

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 日本の親分さんは米国である(らしい)。

 隣近所のアジア民族とのいさかいが増えてきた。(こちらが火を付けたのだが)

 今では、偶然この真珠の指輪を日本に与える役を果たした米国が、実はその真珠をやっかいに思っているのだった。

 そろそろ金庫に陰りが見えてきた米国は、金のかかるアジアは日本にもう少し仕切らせて中国を牽制しよう、武器をもっと買わせようと。

 そんななか「国」が仕事である政治家たちは、親分を後ろ盾に、指が痛いこの指輪をこのときとばかり外そうと躍起になっている。

 今度こそは本気のようだ。。。

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 真珠はきっとこう嘆いていることだろう。

 「私が守っているのは、あなたたちが敵と思っている国からではない」

 「あなたたちを支配している国から守っているのだ。皮肉にも私をあなたがたに贈った国から」

 イラク戦争の頃、もしこの指輪がなければ。。。

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 さて世の中には「ことわざ」が多数ある。

 それは真実を一言で目の当たりに見せてくれる

 わが日本にあてはまるのはこれかもしれない。

 「豚に真珠」

『ノボ辞典』目次
 ノボ辞典「オリンピック」
 ノボ辞典「デジタル」
 ノボ辞典「丁寧」
 ノボ辞典「農」「農業」
 ノボ辞典「経済」
 ノボ辞典「憲法九条」
 ノボ辞典「選挙」
 ノボ辞典「反面教師」
 ノボ辞典「必要悪」
 ノボ辞典「愛国心」「愛国主義」
 ノボ辞典「能力」「性能」