ボトルに入った水を買って飲む時代、まさか雨水がそのまま飲めるはずはないと思っていました。ところが。。。
「モバイルハウス」や「0円ハウス」で有名な坂口恭平さんの本『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』を読んでいたら、雨水に関する興味深い記事が載っていました。
彼のモバイルハウス師匠で、彼が「多摩川のロビンソンクルーソー」と呼んでいる「鈴木さん」の実話です
屋根には雨樋を取り付け、その先に茶漉しをつけています。そうやって雨水を濾過し、寸胴に貯めているんです。それ以外にむ拾ってきた鍋、バケツ、炊飯器のジャーなど、いろんな容器を外に置いています。飲み水以外の生活用水、畑にやるための水などには、それらを使っています。貯水タンクを持っているので、かなりの量の水を貯蔵しておくことができるんです。
水といえば、朝方、植物の葉の上に溜まっている朝露は、ぜひとも一度飲んでみてほしいです。昼は暑くて蒸発してしまいますが、夜になっで気温が下がると水分は蒸発せず、朝方になって溜まって出てくる。これは完全に濾過された水であると同時に、植物の体内を通過する際にその栄養分も吸収していて、おいしいんです。これがどういうことかというと、たとえ天変地異が発生して、都市の水道機能が断たれたとしても、飲み水を手に入れる方法はいくらでもあるということです。
「文明まっただなかの現代社会にいて、いったいこんな話のどこに興味があるの?」という声が聞こえてきそうです。
しかし私はこんな話にとても関心があります。というか2年前から関心がとりわけ強くなりました。
それは3.11の大震災で10日以上も電気なし、水道なし、暖房なし、ろくな食い物なしの生活を送ったからです。
その時期は決して苦労だけではなく、何か楽しい感じさえしたのでした。
「なんだ、電気や水道などなくたってなんとか生きられるじゃないか」
「俺たちはなんて家畜のようにインフラとやらにつながれっぱなしだったんだろう」という気持ちになって。
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それでも雨水が本当に飲めるのか心配です。
2月2日の新聞に「途上国を支える雨水ビジネス」という記事が載りました。
「天水(あまみず)研究所」という会社を立ち上げて、アフリカに飲料水用の廉価な貯水タンクを広める仕事をしている村瀬誠さんという方の特集でした。
彼は墨田区の保健所勤務時代、下水道洪水対策の一環として国技館の雨水貯蔵プロジェクトを企画実施した経験を生かし、アフリカでこの仕事をしているとのことです。
その記事の中にこんな話が載っていました。
私自身も、静岡県の自宅に雨水タンクを設けています。きれいなので、トイレや庭の散水だけでなく、お茶もいれられます。
いろいろ調べてみると、降り始めの雨水は汚れを含んでいて飲用に適さないようですが、しばらく降り続いた後の雨は十分飲めるようです。
はじめに引用した鈴木さんは、降り始めてから2時間1分たってから飲用にするそうです。
元は大手IT企業の技術者で、科学的な知識を持ちながらも、自分の身は自分で守ることがとりわけ必要な一人暮らしをしている鈴木さんの経験則は信じていいのでは、と私は思っています。
こんな「原始への挑戦」もけっこう楽しいものですね。