シルバーケイタイショップ

 老父の携帯電話故障にまつわるてんやわんやで少々疲れました。こんな携帯電話や携帯ショップがあったらいいな、という夢物語を書いて見ました。

 東北の、とある田舎町に自称「ノボ・エジソン」という偏屈アマチュア発明家がいた。

 最近彼は歳のせいか、目の解像度、手指のフレキシビリティーが極度に劣化してきていた。

 もともと「二三本指変則打法」のパソコンキーボード操作ではあったが、最近では日を経るごとに押し間違いが多発していた。

 さらに「ケイタイ」「スマホ」にいたっては、老婆が針に糸を通す苦労を実感する日々であった。

 そんな彼だが、向こう見ずな挑戦マインドが、ろうそくの炎の如きか弱さではあるが残っていた。

 「よし、ノボ・エジソンこの世に生まれて60年、その経験と苦労を活かして、ケイタイとやらに革命を起こしてやるぞ!」

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 彼は自らを逆境に追い込み発明を促進せんと、なんと彼の住む町一番のケイタイショップの隣に土地を借りて店を出し、看板を掲げた。

 『シルバーケイタイショップ』

 まだ売る商品すらないのに。。。

 そして、彼の新商品開発ははじまった。

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 苦節一年、彼を哀れに思う親切な友人たちの助力を得て、ついに『ノボケイタイ009』が完成した。

 彼にしては上出来の商品だった。そのコンセプトがよかった

 「レゴブロックのように自分に合った形に組み上げるケイタイ」

 年寄りでも簡単にわかるし使えるし、若い人もほしい機能だけ選べるし、さらに自分だけの独創ケイタイにもなるというものだった。


 (今回の商品イメージではなくコンセプトを象徴した画像です)

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 私が絵描きなら一目でわかってもらえるのだが、残念ながら私は言葉でお伝えする能力しかない。。。

 できるだけイメージが浮かぶように言葉を選んでお伝えしよう。後は実際にこのショップに来てみてくれ。

『シルバーケイタイショップ』探訪記

 『シルバーケイタイショップ』に入った。

 お〜っと、ここは小学校の理科室かいな?

 大きな机が5台、店のあちこちに置いてある。

 こしかけも、それぞれの机に3-4脚用意してあるぞ。

 机の上には、色分けされナンバーが表示されたカラーボックスが5種類置いてある。

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 カラーボックスNO1は白い箱で、「ブランク」と表示してある

 中をを見たら、ライターよりも一回り大きいいくらいで、丸いコネクター穴が三カ所付いたインゴットみたいな薄くて長方形の機械が入っている。

 各コネクターには色分けされて赤:「画面」青:「入力」黄:「機能」と表示されている。

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 なんとなく、読めてはきたが具体的にどうするかよくわからない。

 そうしたら、カッコイイツナギを着た姉ちゃんがやってきた。

 名札には「ケイタイ・コンシェルジェ」と書いてある

 「私が一緒にお客様のケイタイを組み立てるお手伝いを致しますよ」

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 カラーボックスNO2は赤い色だ。

 ブランクを持ってこの箱から液晶画面を探す。

 その箱には何種類もの大きさの液晶が入っていた。

 私は、多少大きい方がいいので今のケイタイの1.5倍の画面を選び、ブランクの赤いコネクターに差し込んだ。

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 カラーボックスNO3は青い色だ。

 同じようにして「入力」には各種キーボードから自分に合う物を選ぶのだった。

 私は、よけいな物は何もない数字と入切兼用のキーだけの、最もベーシックなものを選び、ブランクの青いコネクターに差し込んだ。

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 カラーボックスNO4は黄色だ。
 
 基本形が決まったら次は「機能」選択だ。

 大事なことは「いらないものはいらない!」だ。

 ここでコンシェルジェが親身にお手伝いしてくれる。

 「お客様のほしい機能に丸を付けてください」とイラストで機能を説明した用紙に一緒にマルバツを付ける。

  たとえばメール機能、インターネット機能、留守電機能ありとあらゆる機能があるが、それらを多様に組み合わせた機能ユニットがあり、そこから自分のほしいタイプを選ぶのだ。

 「はい、わかりました。そのユニットを選びますね」と、黄色の箱からひとつレゴブロックのパーツのような物を取り出して、ブランクの黄色コネクターに差し込む。

 そのユニットは使う機能が何色かのバーコードで表示され、だれでも一目で機能を知ることができた。

 どういう設定になっているか一目瞭然なのが、原始的のようでもっとも先進的と思える工夫だ。

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 カラーボックスNO5はシルバーだ。

 最後は「ガワ」だ。
 
 ケイタイのガワの大きさは表示部とキーボードに左右される。

 最後の箱には、画面やキーボード以外を形成する、まさにレゴブロックみたいなパーツががたくさんの種類入っていた。

 「なるほど、これで大きさ、形、色を自分なりにデザインできるんだ!」


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 私がとても良いなと思ったのは、イヤホン、充電のコネクターが「丸形」で大きいことだった。
 
 しかもコネクターメス側のフタは爪で持ち上げずとも、オスを差し込めばそのまま一緒に中に入り込むつくりだった。

 実はいくらケイタイを「らくらく」にしようとしても、ここが老人には大変だったのだ。

 難聴のお年寄りがイヤホンを差したいと思っても、差し込み口が分からない、小さい、上下が分からない、はずせない・・・

 同じくケイタイを充電しようと思ってもスタンドがないケーブルだけでは、やはり差せない、はずせない・・・

 こんな簡単な工夫だけで、どんなにお年寄りは救われることだろう。

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 コンシェルジェのカワイイ姉ちゃんとまるでお買い物をするように、一緒にオママゴトをするように、あっというまに時は過ぎてしまった。

 組み上がったケイタイを見て私は心が躍った。

 「今までのケイタイより少し大きい。だけどこのシェーバーのようなフォルム、クリムゾンレッドとダークグリーンのダイナミックなツートンカラー、イカスじゃないか!」

 コンシェルジェの姉さんも、遠くの部屋の窓からニコニコして眺めているノボ・エジソンも、私と一緒に喜んでくれているようだ。

 今度はじいさんのケイタイをここで組み立てよう!きっとじいさんも喜んでくれるだろう!

 いつもながらの書きなぐり物語で申し訳ありません。

追伸
 (ブログの画像を選んでいたら、実際にレゴが携帯電話のガワを作る事をしているという記事を発見しビックリです!)
 

  →「レゴがコラボして携帯電話を作ってるよ!」