しごと、楽しくあったかく!

 今朝は新入社員さんの入社式がありました。式といっても小さな会社、少し長い朝礼みたいな感じです。新入社員さんに後で思い出してもらえるように、今朝のスピーチを書いておくことにします。

食べられることにまず感謝

 入社おめでとうございます!

 さ〜、何から話しましょう?

 まず、一番に喜ぶべきことは、「これでご飯が食べられる」ということですね。

 これが社会人として世に出る一番の目的でもあるんです。

 今は就職したくてもできない若者がとても多い時代になってますよね。

 わが社だっていっぱい採用したいけど、規模に限界があって少数しか採れません。

 そんななか、就職できた幸運に感謝しましょう。

 そして、あなたを評価しこれから一緒に働こう!と採用してくれた会社にも感謝しましょう。

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楽しいほうがいい?苦しいほうがいい?

 さて、しごとって楽しいことですか?苦しいことですか?

 たぶん答えは「どっちも」ですよね。

 それでは、自分にとってしごとは楽しいほうがいいですか?苦しいほうがいいですか?

 たぶん答えは「楽しいほうがいい」ですよね。

 ところが、実はびっくりなんですが、逆に考えている人のほうが多いんです。

 「仕事とは苦しみに耐えることである」と。

 変ですね?

 どうしてこういうことになるかといえば、

 「仕事のために自分がある」と思っている人が多いからなんです。

 「自分のために仕事がある」と思っている人が、世の中には意外と少ないんですね。

 でも自分が楽しくなければ、お客様だって、まわりの人たちだって、ちっとも楽しくなんかないですよね。

 それに楽しくない仕事ならちっともはかどりませんよね。

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楽しくない仕事はあるか

 えっ、絶対楽しくない仕事だってあるはず?

 そのとおりです。人や生き物に害を及ぼすような仕事、それは絶対楽しいはずはありません。

 それは仕事というより「犯罪」といったほうがよいでしょう。

 そういうことを見極め、避けていく見識や勇気も社会人には必要です。

 とはいえ、世の中のほとんどの仕事は「人の幸せ」のために存在します。

 人のためになる仕事なら、きっと楽しくできるはずとは思いませんか?

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楽しいとはどんなこと

 さて、「楽しい」ってどんなことでしょう?

 自分の今までの経験を思い出してみるとよくわかります。

 同じことをするのでも、その仕事の目的がわからずに、ロボットのようにする仕事は楽しくないはずです。

 反対に、その出来上がりや目的にワクワクして取り組む仕事は、一見苦しそうに見えても実は楽しいはずです。

 そうですよね?

 ですから自分のために楽しい仕事をしようと思うなら、「ワクワクする能力」を向上させていくことが必要なんです。

 能力って「計算力」とか「記憶力」「論理力」と思いがちですが、本当に大事な仕事の能力というのは「ワクワク能力」なんです。

 しかもありがたいことに、この「ワクワク能力」は、努力すればだれでもが身につけられるんです。

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「ワクワク能力」の伸ばし方

 今日は晴れの入社式ですから、「ワクワク能力」をどう伸ばすかのヒントをプレゼントします。

 ふたつあります。

 「最初に最後を考える」

 「四つの世界を意識する」

 少し理解が難しそうなヒントですね。

 かみくだいて説明していきましょう。

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「最初に最後を考える」

 しごとができる人、仕事を楽しんでいる人は、自分にこのように問いかけする習慣を持っています。

 「それはどんな目的?」

 「それでどのように変わる?」

 「それはいつまでに必要?」

 しごとを始める前に「できあがり」の状態や「お客様の反応」「効果」をイメージする習慣なんです。

 そうすると、お客様の喜ぶ顔を早く見たいから、いいものを、自分なりに工夫して、期限にまにあわせよう!というワクワク感が生じるんですね。

 そうそう、このワクワク感というのには、自分だけじゃなくて他の人も喜んでくれることが必要なんです。

 ですから「ワクワク感」には「共感するあったかい心」が不可欠なんです。

 もうひとつ、お客様というのは最終消費者だけじゃないこともおぼえておいてくださいね。

 仕事場では「上司がお客様」なんです。 

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「四つの世界を意識する」

 ふたつめは、なんか四次元世界みたいなSFっぽい感じですね。

 そうではないんです。常にこのように考える習慣のことなんです。

 私たちは「会社人」「社会人」「人間」「生き物」の四つの世界で生きている

 今日あなたは「会社人」+「社会人」になりました。

 でも、今までもこれからも、あなたは「人間」「生き物」でもあるんです。

 そして、「人間」「生き物」という世界の善し悪しを考えるほうが、「会社人」や「社会人」の世界の善し悪しを考えるよりずっと大事なんだということです。

 だっていくら効率が良いものを作っても、人間や生き物が死んだり環境が悪化したら本末転倒ですものね。

 この思考習慣は持続していくことがとても難しいものです。

 社会で暮らしていけばいくほど、そしていわゆる「能力が高い」と言わる人ほど失いやすいものです。

 だんだん「効率」とか「お金」だけしか目に入らなくなってくるんですね。人間性が劣化していくんです。

 ですが、この四つの世界を常に意識していくと、自分の人間性が高まり、結果的に「善いもの」「喜ばれるもの」を創りだす人になっていけるのです。

 そうなると自分の創りだすもの、創りだしたいものに自信がついて、常に「ワクワク」するようになるのです。

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良き習慣を持続するためには

 良き習慣を持続するためには日々の「頭のメンテナンス」が必要です。

 それには「入力」と「出力」、プラス「執念(あきらめない気持ち)」が必要です。

 人の頭というものは、水のタンクと同じで、出した分しか新しい水は入ってこないのです。

 ですから、こんな具体的な努力が必要です。

 ・仕事と無関係なことにも興味を持つ(入力)

 ・新聞や本を読む習慣を付ける(入力)

 ・文章を書いたりして出力を心がける(出力)

 ・越えられない壁の前でウロウロし続ける(執念)

 長い間に大きな大きな蓄積となっていきますよ!

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豊かな人生の創造を

 だいぶ長い話になってしまいましたね。そろそろ終わらせましょう。

 明日から折にふれ、私が話す内容は、今お話したことがベースになります。

 会社のあらゆる仕事、活動も今話したことが基本になります。

 この基本を、日々の仕事のなかで感じ取り、自分らしくアレンジしていくことが、実は「仕事」であり、かつ「仕事の楽しさ」なのです。

 アレンジに完成はありません。だからいつまでも楽しいし、みんなもその同じ仲間なのです。

 さ〜今日から、若々しく挑戦する気持ちと、人に対するあったかい気持ちをもって、日々の仕事を存分に楽しんでください。

 そして「仕事を通して豊かな人生を創りあげていってください」