隠された図書館

 図書館はみんなの場所、ではない!? この山奥にある図書館は、ある限られた住民だけが入館できるそうです。
 とても秘かに、そして少しづつ、世の中はバランスを取りもどそうとしているのかもしれません。

 「大から小へ」「グローバルからローカルへ」「画一から独創へ」「効率から幸福へ」

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 とってもユニークな図書館が、私が大好きな月刊誌『ソトコト』で紹介されていました。

 昨秋、徳島県神山町にできた初の図書館は、一部屋ほどの間取りで、蔵書はまだ20冊ほど。そして鍵を開けて利用できるのは、卒業、結婚、退職するときに大事な一冊を納めた住民のみ!


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 アートによるまちづくりが進む同町では、毎年、招聘作家が滞在して作品を制作・展覧する「神山アーティスト・イン・レジデンス」を開催。同プログラムで出月秀明さんが建設した作品がこの図書館だ。

 町には高校が一校で、学校を卒業して町を離れる人もいることから、出月さんは、この春の小中学校卒業生に手紙を寄せた。

 「大切な本を図書館におさめて鍵を手にし、いつかここを訪れる日を大切にしてください」

 誰かの本に節目を想い、自分に重ねるここは、思い出のアーカイブともなっていく。

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 こんなユニークな図書館を発想し、しかもアートとして具体化させた地域もあるんですね。

 「本」というのは豊かな森だと思うんです。

 森には、様々な木や草や生き物が住んでいます。

 その多様性を生み出しているのは「本」に書かれた内容だけではありません。

 本を書いた人、本の装丁、本を読む人、本の思い出、そして本のある場所、これらの多様な組み合わせが「本の森」の豊かさであると思います。

 すべての書籍が電子化による画一化に進んでいる現在、本というものの真の豊かさを受け継ぐことができるのは、それとは反対のものであることでしょう。

 紹介した図書館は、それがどんなことか、誰にでも直感できる場所のようです。

 だからこの図書館自体が「アート」なんですね〜。