手作りの店で茶飲み話

 一昨日の土曜日、一年ぶりに大崎市郊外にあるユニークなピザ・レストランへ行きました。里山を背にした閑静な野原にあるセルフビルドのお店です。建築カメラマンでもあるマスターの都合で、金土日の三日しか営業しません。
 「や〜、久しぶり!この前からどれくらいなっぺ?」体格のいいマスターが破顔の笑顔で迎えてくれました。

 「夏の終わりに来たんだげっど、休みでさ〜。んだね〜、この前来てからほぼ一年だっちゃね〜。ごぶさたでした」

 なんて、久しぶりでも会えばすぐに打ち解けます。

 まきストーブのそばには、いつものように寒がり犬が寝そべっています。

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 さて、このお店実は100%マスターの手作りなんですよ!


(左の瓦葺きの家屋は美人さんが主宰している美術工芸品工房です)

 マスターは大工素人なんですが、やはり素人の助手(女性?)と一緒に、本業の傍ら1年半かけて建てたそうです。

 しかも自宅は仙台と山形の境目あたりですから通うのも大変。(自宅もログハウスの自然派、この店は実家の土地みたいです。)

 と、そこまではわかっていましたが、その日はさらに発見がありました。

 「味のあるドアだっちゃね〜」なんて、ピザ・ビスマルクを食べながら私はマスターに言いました。

 アンティークショップ巡りでもしたのかな〜なんて思いながら。

 「俺作ったのさ。ドアなんか買ったら何十万もすんだよ。高くて、とてもとても。。。」

 オウ、これも手作りだったんだ!

 さらに、この踏み板のアールすごいね。「職人さんにしてもらったの?」

 「な〜に鋸で刻み目細かく入れて木の縁にあわせていくのっさ。じかんかかったけっどもね」

 さらに、アールのカウンター、これもマスター手作りとのこと。

 セルフビルドとはいっても既製品を自分で組み立てるだけというのもあるでしょう。

 ここは何から何まで手作りで、手作りのレベルが違います。

 壁の漆喰の塗り方やらストーブまわりの石壁の作り方やら、その日もあれこれ教えられました。

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 店には立派なステージもあります。

 この日の晩もゴスペルコンサートがあるらしい。

 けっこう年配ミュージシャンのコンサートで貸すことが多いらしく、マスターはこんな感想をもらしていました。

 「年配の人たちの音楽っていいね〜。この前のフラダンスなんか歌も踊りも今までのフラダンスのイメージとまったく違ってたね。深くて柔らかい歌とうっとりする踊り。。。」

 「そうそう、フォークコンサートもいがった!」
 
 「フォークだとずいぶん年配の人でしょう。曲はボブディランとか、PPMとか?」

 「60代半ば以上かな。『500マイル』なんかジーンときたな〜」

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 この後、四方山話をしましたが、この辺も5年後くらいには様変わりするだろうなんて話してました。

 店の前に県道が通るらしいし、沿岸部への埋め立て土をこの辺の山を削って持って行ってるらしいし、もっと大がかりになるらしいとのこと。

 「自然の中で店をやっていきたいな〜と思って作ったのに、なんとも空しくなるね〜。ま〜俺だってそんなにいつまでも生きてるわけじゃね〜からあきらめでっけど」

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 スモールハウスの話などもしました。

 なんともその意義やよさが理解できないようでしたが。

 しかし、この店のカウンターまわりだけを切り取ってスモールハウスにしても、十分満足できそうなものが作れそうと私には思えたのです。

 (ちなみにこの店のトイレもスモールハウス並?に広いんです)

 そして思いました。

 「スモールハウス作るならやっぱりオール手作りだな〜。ハウスというより『アート』になるな〜」

 足腰がほとんど(大工作業の)使い物にならない私にはパートナーが必要ですから、思い立ってすぐにあれこれできません。

 マスターは最後に苦笑しながらこう言いました。

 「身体動くうちにやんねどね〜」

 まったくそのとおりなんですけどね。。。。

  →このお店「ベンチタイム」のHP