窓辺の天国

 快晴の週末でした。夕方の空にはきっと青い鳥が飛んでいたのでしょう。身近なところに「天国」を発見!

『詩集ノボノボ』より

窓辺の天国

 のどかな春の夕方

 お日さまが 

 空気をうすいオレンジ色に

 優しくけむらせている

 まだまだ眠りませんよと

 明るい日射しはそのままに

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 座敷の障子を開けてみた

 待ってました、というように

 夕方の少しひんやりとした

 さわやかな風が

 さあ〜〜っと入りこむ

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 夕方は鳥たちがとても忙しい

 レッドロビンの垣根の向こうで

 賑やかなさえずり

 飛ぶのがあんまり速くて

 なに鳥なのかわからない

 この時間 世界は鳥たちが主人公だ

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 なんかとても癒やされて

 肘掛け椅子を窓辺に持ってきた

 ついでにいつもの日本酒も
 
 今日は 窓辺の独り酒場だ

 飛びまわる鳥を肴に、いやBGMにして

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 お気に入りのグラスに

 お酒を満たし

 クイ〜っとまずいっぱい

 はあ〜。。。

 カサカサの土に

 慈雨がしみこむようだ

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 いつか読もうと積んでいた本を開き

 お日さまをスタンドにして

 ページをゆっくりめくっていく

 そうしたら、

 活字に生命がやどったように

 著者が私に語りかけてきた

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 ふと垣根に目を向けると

 わが畑の上で

 数十ものブヨたちが

 ダンスを踊っている

 同じ場所を 一生懸命飽きもせず

 いつまでも いつまでも

 ブヨたちも 踊り続けたいほど

 今が至福の時なのだろうか

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 人の声も車の音もなく

 鳥の声はにぎやかで

 芽吹いたばかりのレッドロビンと

 ブヨのダンス

 たぶん いつでも、どこにでもあった

 当たり前の風景なのだろう

 それが天国のように思えるなんて

 実に不思議なことだ

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 農家の縁側に腰を下ろし

 キセルをふかすじいさんも

 テラスの揺り椅子で

 編み物をする欧州のばあさんも

 畑の畦で一休みする

 もんぺ姿のばあさんも

 みんな同じ想いをしていたのだろうな〜

 たぶん オレンジ色の日光は

 天国を透かしてみせる

 フィルターなんだろう。。。

 →ノボ村長の「思い出アルバム」

 →ノボ村長の「詩集ノボノボ」