『池上彰の教養のススメ』読んでみました。「教養」を「おしゃれ」や「おまけ」みたいに考えていることが現代の問題だな〜と感じました。
表紙に書かれているコピーだけでも衝撃的です。
私が一番気に入ったコピーはこれです。
教養とはつまるところ「人を知る」こと。
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会社人としてなるほどと思うのはこんなコピーでした。
教養なきビジネスは何も新しいものを生まない。
教養のない街に人はこない。
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励まされたのはこれです。
教養はいつからでもどこででも学ぶことができる。
四の五の言わずに死ぬほどたくさん本を読め。
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本書から、ホリエモンさんが「教養」の大切さを知ったという話を紹介します。
本書「目先の「合理主義」は非合理な結果を招く」より引用します。
(読みやすいように小見出しを付けました)
堀江貴文さんとの対談
2013年未、堀江貴文さんとニコニコ動画で公開対談を行いました。
ご存知の通り、堀江貴文さんは、ITベンチャーのライブドアの経営者として注目を浴びましたが、その後証券取引法違反で逮捕され、実刑判決を受けて2年あまりの刑期を終え出所してきました。
はじめてお金いしたのですが、好奇心旺盛で、非常に率直な人です。
対談は弾みました。
対談をして気づいたのですが、堀江さんはとても合理的に考える人です。
高校時代成績が悪かったときも、自ら効率的な勉強法を編み出して、見事東京大学に現役合格されたそうです。
対談では、堀江さんがマスコミを敵に回すきっかけとなつたラジオ局であるニッポン放送の株式買収事件に話が及びました。
合理的な買収ストーリー
彼の試みは、ニッポン放送とグループ会社のフジテレビの会社挙げての猛反対に遭い、買収は志半ばに終わりました。
堀江さんが公開企業のニッポン放送の株式を取得して買収しようと考えたのは、ラジオに興味があつたわけではなく、公開企業のニッポン放送が株を大量保有している子会社のフジテレビが欲しかったからでしょう。
インターネットの世界で台頭した堀江さんはテレビのカをよく知っていましたから、メディアとしてのテレビに大きな可能性と魅力を感じたんでしょうね。
掘江さんは、巨大なフジテレビが小さなニッポン放送の子会社という歪な構造になつていたことに注目します。
ニッポン放送を買収すれば、結果としてフジテレビの大株主になり、経営を掌握できる、というわけです。
企業買収=M&Aの論理だけで考えれば、こうした買収は当然のことなのかもしれません。
堀江さんにしてみれば、「合理的」な判断です。
買収される側の気持ち
でも、現実はそうならなかった。
買収対象となったニッポン放送の経営陣はもちろん、社員も、子会社のフジテレビ社員も、みんながライブドアによる買収に反旗を翻したのです。
なぜ、いきなりやってきた門外漢の若者に、会社を持ってかれなければいけないんだ、と。
私は堀江さんに訊ねました。
「あのとき、買収されて踏み台にされそうになつたニッポン放送の社員たちの『気持ち』、考えたこと、ありました? 彼らの気持ち、考えたこと、なかったでしょう?」
堀江さんは答えました。
「ありませんでしたね」
当時の堀江さんにとってみれば、この買収は 「合理的」な策でした。
ニッポン放送やフジテレビの社員たちの「気持ち」という「非合理的」な感情は想定外だったのです。
でも、社員たちの「気持ち」という「非合理的」な感情を無視したこともあり、「合理的な手段」だったはずの買収劇は、最終的に当初の目的を果たせずに終わりました。
真の合理主義とは
堀江さんは、逮捕されるまで仕事や自分の興味の対象以外の本をあまり読んでいなかったそうです。
自分と関係ない本は非合理的な存在で必要ない、と思っていたのかもしれません。
でも、世界は決して、誰か一人の「合理性」に合わせてできているわけではありません。
さまざまな人間のさまざまな一見非合理的な感情が渦巻いているのが現実の世界です。
真の合理主義とは、人間の一見非合理的な感情も織り込んだ上で行動し、決断することではないでしょうか。
己の合理性だけで行動するのは単なる独りよがりになるかもしれません。
目先の合理主義を追求すると非合理な結果に陥ることがあるのです。
ホリエモンさんのその後
堀江さんは逮捕後、一念発起して、大量の本を読みあさったそうです。
出所してからは、自らの合理主義で話を押し通す前に、相手の感情を考慮するようになつた、何より人の話を聞くようになつたと話していました。
「教養」はいつからでも、身につけようと思ったらつけられるのです。