秋晴れの日が続きます。秋は色彩あふれる季節です。ふと『センス・オブ・ワンダー』に挿入されている数々の写真を思い出し本棚から取り出しました。
読むというより気の向くまま数ページづつ味わうといった本です。
この本にある写真がまたすばらしい。
すべて森本二太郎という方の作品ということです。
この本を開くのは、せいぜい年に一度か二度ですが、そのたびに心が洗われる気がします。
本当にすばらしい私のバイブルです。
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今日は「後書き」を読み直し、今まで以上に親しみが湧いてきました。
それはこの本が当時5歳の「ロジャー」に贈られた経緯を教えてくれたからです。
ロジャーはレイチェルの姪の息子でした。
彼は幼い頃からメイン州にあるレイチェルの別荘に遊び来て、共に自然を愉しんでいました。
ところがロジャーの母親は、彼が5歳の時病気で亡くなったのです。
その後レイチェルに引き取られて成長しました。
レイチェルは友人への手紙にこう書いていました。
「宇宙時代の玩具にかこまれた、いたいけな少年が、いっしょにクリスマスを過ごす人は私のほか誰もいないのです。かわいそうでたまりません」
しかし彼女もその7年後、56歳という若さでガンにより死去しました。
その翌年友人たちがこの本『センス・オブ・ワンダー』を出版したのでした。
なにか私もわが孫たちとの交流を思い出し、ホロッとさせられます。
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さて、3年前になりますが、映画化された『センス・オブ・ワンダー』を観に行きました。
その当時書いたブログを読んで身が引きしまる思いがしました。
忘れてはいけないことを忘れかけている自分を感じて。
ノボ・アーカイブス
ミニ・シアターに好感
何年ぶりかで仙台のミニ・シアター「フォーラム仙台」に行ってきました。
『レイチェル・カーソンの感性の森』という映画を観るためです。
行ってみて思いました。
ミニ・シアターはとても大事な文化であると。
なぜかといえば、ミニ・シアターには「哲学」があるからです。
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哲学と云えばとてもたいそうに考えがちですがそれは違います。
どんな人だって「善きこと」とか「善き生き方」について考えるなら、みんな哲学者です。
人生哲学は学問ではありませんからね。
同じ考えや感性を持った人たちが、制作時期や巷の人気などにとらわれず、良い作品を選んで上映する。
そうすると映画館はただの「箱」ではなく、人が住み集う「家」になる。
人が住むどの家も住む人の感性で一つ一つ違うように。
そして今、この映画館では原発や核、環境問題を取り扱った過去に制作された内外の映画を順に上映しています。
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さて、本日の映画「レイチェル・カーソンの感性の森」について少し・・・
レイチェル・カーソンという方は海洋生物学者であり、私が小学校1年生くらいに出版された「沈黙の春」という本の作者でもあります。
この本によりアメリカでは「DDT」が禁止されるなど、その後の環境政策にきわめて大きな影響を与えたとのことです。
レイチェル・カーソンはガンにより50代で亡くなりました。
この映画は彼女役の女優が、レイチェル最後の一年を、彼女がとても好んでいたというメイン州の海岸にある実際の別荘で、たったひとりで私たちに語りかけるという形式でつくられています。
もとになった本はレイチェルの遺作『センス・オブ・ワンダー』です。
この映画ができるずっと前から、その女優はレイチェル・カーソンを敬愛し、彼女になりきり全米の高校や大学などで一人芝居を続けていたそうです。
たぶん本当のレイチェルも「自分がいる」と言ったに違いありません。
私はすっかり本人だと思って見ていました。
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映画を見てびっくりしました。
2008年制作なのにまるで3.11の原発事故後に作ったのでは?と感じたからです。
放射能を農薬に、経産省を農務省に、電力会社を化学メーカーに置き換えただけで、あとはすべてそっくりなのです。
経済界や政界の猛反発、その圧力で何も書けない、いや逆にレイチェルを非難するマスコミ、御用学者や評論家の安全理屈・・・
それぞれの人たちが属する社会構成と言い分は今も昔もまるで同じ。
空しさを感じるものがありました。
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最後にレイチェルになりきったカイウラニ・リーのつぎの言葉が印象的でした。
「自然と触れ合えば皆、自然と恋に落ちる。それこそが地球を守る唯一の方法であるということを、多くの人に伝えたくてこの舞台を始めた」
あ、そうそう、「なんば歩き」の復権で有名な武術研究者の甲野善紀さんはレイチェル・カーソンを「歴史上最も尊敬する女性」と語っているそうで、この映画にちなんだ対談会もどこかで予定されているようでした。
武術と環境の思いがけない嬉しいつながりです。
(2011.8.21)
レイチェルカーソンは著名な海洋生物学者でありました。
彼女は科学と文学の合流をめざし、この珠玉の作品を残しました。
彼女を最も尊敬すると語っている甲野善紀さんは武術家です。
彼もたぶん「武」というものと「自然」や「文学」という異質な?ものとの合流をめざしているのではないかと思うのです。
このように「科学」や「武術」が、その対極のように見える「自然」や「文学」や「アート」と合流していくことこそ、私たちの幸せにつながるのではないかと思うのです。
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この本は三年前に私の娘たちや姪に送りました。
たぶん本棚の奥で静かに眠っていることでしょう(苦笑)
でもいつか、ふと取り出して数ページ読んだとき、きっとこう言うでしょう。
「あ〜〜、おとう、こんないい本送ってくれていたんだね。ありがとう」
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そしていつか、私もレイチェル・カーソンのような文章を書ける(描ける)人になりたいものだ、とつくづく思ったのです。