最近鳴子温泉の日帰り湯治にはまっています。おかげで体調はすっかり回復し、肌もつやつやスリップしそうです。
鳴子温泉は、お湯の魅力だけではありません。
ユニークな「共存共栄」のしくみがあるのです。
(以前のブログを再掲載させていただきます。)
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ノボ・アーカイブス
米を高く買う町 (2011.12.12)
鳴子温泉はさすがに「東の温泉横綱」です。
身びいきのように思われそうですが、温泉だけではなく「地域の支えあい」も横綱にふさわしい「温かいしくみ」があるのです。
昨日は神奈川からやってきた娘と同僚の「ゆかちゃん」、二人を乗せて鳴子温泉めぐりをしました。
私は観光タクシーの運転手さながらの一日となりました。
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さて、鳴子温泉郷は日本はもとより世界でも有数の温泉地です。
なにせ9種類の全く異なる温泉が噴出しています。
しかもその成分の組み合わせまで考慮したら大変な種類の温泉が集まっているのです。
たとえばとても古い公衆浴場「滝の湯」は強酸性ですが、10メートルも離れていない隣の旅館の風呂は「強アルカリ性」といった具合です。
一軒で三種類以上の異なる温泉をもつ旅館も多数あります。
昨日は五ヶ所入ってきました。
東鳴子の茶色の湯、川渡の暗緑色の湯、中山平の透明なうなぎ湯、鳴子では隣同士の個性的な湯、コバルトグリーンの西多賀の湯、乳白色の東多賀の湯。
みんなで、あらためて鳴子温泉の魅力について思いを深くしました。
こんな温泉地は他にないと思います!
他の温泉地が一品料理だとしたら鳴子温泉はフルコースです。
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前置きが長くなりました・・・。
さて、こんなすばらしい温泉地ですが、もっともっと「温かいこと」があるのです。
それは、鳴子の町では多くの旅館やお店、家庭で「倍の値段で地元の米を買っている」のです。
温泉で有名な宮城県大崎市鳴子地区で継続中の「鳴子の米プロジェクト」は、「継続してほしいからこれを買う」という、経済価値とは異なる価値を優先させた農業とそれを支える地域流通システムへの取り組みです。
このプロジェクトが始まった頃テレビで特集が放映されました。
私はとてもグッと来ました。
今鬼首(おにこうべ)の農家はどこもやっていけない。それでも田んぼをやめないのはどうしてか?今農家をしている方がこう話しました。
「何代か前に荒れ地の鬼首を開拓した先祖がいる。
山だらけで水路が引きにくいこの土地で、開拓者全家族が交代の徹夜作業を数年続けて、一日数十センチづつ手でこの隧道を掘ったのです。
この隧道のおかげで田んぼができるようになりました。
大変な苦労をした先祖の姿が忘れられないから苦しくても続けています。」
この話を聞いたコーディネーターがなんとかこの大切なことを守る方法がないかと知恵を出し、それを地域の人々が協力し、あえて「高い米を買う」システムに喜んで参加したのです。
それはお金が人の顔に変わった瞬間です。
あるソーシャル・アントンプレナー(社会企業家)が提案した独自の品種の開発と、その米作りを支える「町ぐるみのしくみ」。
それは「雪むすび」という品種であり、
その米を作り続けることが出来る価格(一般米の二倍の価格)で、町の旅館やお店、家庭が買って支えるというしくみです。
信じられないことですが、住民みんなが賛成して今も続いているのです。
こんなしくみが方々にあれば、TPPという黒船にも耐えられるのではないかと思いました。
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雪むすびを使ったおにぎりや「むすびや」もできました。(注)
昨日のお昼ご飯はそこで食べました。
三人分でたった1080円です。
しかも開店二周年記念ということで、記念のもち米「もちむすめ」まで頂戴してきたのです。恐縮です。。。
帰りの車中、私は娘とゆかちゃんに「ゆきむすび」の物語を話して聞かせました。
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注:2014年11月現在、残念ながら「むすびや」は現在休業中とのことです。