純米酒のような温泉

 鳴子温泉日帰り放浪記はまだ続いています。先週は二カ所、どちらも初めての温泉に入ってきました。
 曇りのち小雨、パリッとしない天気の昨日でしたが、いいお風呂に浸かったら身も心も爽快になりました。

 行ったのは鳴子温泉郷にある鬼首(おにこうべ)温泉です。

 鬼首の湯はほとんど透明です。

 ところが湯に浸かってみると、旅館ごとに味わいが違うのでびっくりします。

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 鬼首温泉といえば、先月はアルカリ単純泉の「大新館」に行きました。

 昨日は、その近くにある「旅館元湯」に入ってきました。

 みた目そっくりの湯でも、わが肌センサーが感じる味わいは全く別物です。(どちらもそれぞれの持ち味があります)

 内湯だけのシンプルな温泉ですが、お湯は絶品でした。

 まるで純米日本酒のほどよいお燗のような、実にいい〜肌さわりの湯です。

 とろりとして柔らかく、甘露のような感じでもあります。

 考えてみると、お燗も温泉も同じくらいの温度ですね〜。

 もうひとつ想像がわきました。

 入っている私はふろふき大根のようだな〜って。

 昔懐かしい火鉢にかけた土鍋で、コトコト温めてもらってるような気がしたのです。

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 温泉分析表を見れば「純食塩泉」とのことです。

 それではと思って、掛け流しの源泉をなめてみるとさっぱり塩辛くありません。

 「食塩泉」のはずと思い直し、よ〜く味わえば「旨み」の中にほんのりと「塩味」が。。。

 純米酒やふろふき大根を連想させられたのもむべなるかなって感じです。

 食塩泉と名の付く温泉は、なめればとてもしょっぱいお湯がほとんどなので、実にめずらしいお味の食塩泉でありました。

 あったまりも抜群、これからの時期にお勧めの湯ですね。

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 さて先週、床屋さんで鬼首温泉の手前に「神滝(みたき)温泉」という秘湯があると聞きました。

 ずいぶん前に床屋さんも入ったらしいのです。

 実は昨日はその温泉を見つけて入ろうと思っていたのです。

 床屋さんが言うには、鬼首温泉に入る手前に看板があるはずというのですが、今までも見た覚えがありません。

 昨日必死に目をこらしていたら、看板であったらしき物を発見しました。

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 もう温泉の表示もされていませんが、その方向を見やれば何やら明治時代の旅館のような建物が見えます。

 近くに車を置いて歩いて行ってみました。

 そこがめざす「神滝(みたき)温泉」であることがわかりましたが、玄関に入っても音さたなし。

 建物のあちこちを眺めまわせば、もう営業していないことは一目瞭然です。

 あきらめて別な温泉を、と思って入ったのが「旅館元湯」だったのです。

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 先週はもう一軒、これも私が存在を知らなかった温泉「まつばら山荘」の湯にも入ってきました。

 鳴子の温泉ガイドにも載っていません。

 そしてこの温泉は「新鳴子温泉」と名乗っているんです。

 こぎれいな旅館で、お湯も重曹泉と単純泉の混合、広い湯船の掛け流しは気持ちがいいものです。

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 日帰り入浴をすると、ここで精製されている「まつばら源泉水」のペットボトルをいただけます。

 この水は「東北大学病院売店」でも販売されているらしく、たしかにスイスイのめる体に良さそうな水でした。

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 鳴子温泉郷中山平温泉では「玉鳴号(たまなるごう)」という銘水も製品化されています。

 鳴子は「お湯」だけでなく「お水」も売り物になってきたんだな〜、なんてつい微笑んでしまいます。

参考
 鳴子温泉湯めぐり道中記
 鳴子温泉日帰り放浪記(1)
 鳴子温泉日帰り放浪記(2)
 鳴子温泉日帰り放浪記(3)