思わず雄叫びの共同浴場

 雄叫びというべきか悲鳴というべきか、入ったとたん「おおおお〜〜〜〜〜!」。なんとも熱過ぎる温泉に入ってきました。
 足の調子が悪くて一ヶ月ほどご無沙汰していた鳴子温泉日帰り放浪記、土曜日から再開しました。

 鳴子温泉郷は日本有数というより世界有数の温泉地帯と言えるでしょう。

 なにせ世界にある温泉11種類のうち9種類もあって、しかも温泉ごとに成分が異なる源泉が370本もあるんですから。

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 さて、鳴子温泉郷東の入り口には「川渡(かわたび)温泉」があります。

 鳴子温泉日帰り放浪記、再開はこの川渡温泉からです。

 昔から「脚気(かっけ)川渡、瘡(かさ)鳴子」といわれた効能豊かな温泉で、10軒くらいの旅館があります。

 硫黄を含んだ温泉が多く、暗緑色の湯が特色です。

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 さて、私が入ったのは「川渡温泉共同浴場」です。3年ぶりくらいでしょうか。

 土曜の昼、入浴客は隣の女風呂に一人?のみ。

 脱衣所にある料金入れに200円入れてさっそく浴場へ。

 この日も私一人の貸し切り大浴場です。

 ところが。。。

 「おおおお〜〜〜〜〜」

 入ったとたん、あまりに熱くて動けない、少しでも動かすと痛い!

 信じられないかもしれませんが、熱すぎて逆に真冬の海にでも入ったような凍り付くような感覚です。

 隣の女湯からは何も聞こえず、静かに入っているようですが、私は恥ずかしさを感じる余裕もなく大きく叫んでしまいました。

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 実はこの共同浴場の温度がとても熱いことは前から知っていました。

 いつぞや夏に来たことがあるのですが、そのときはつま先さえ入れられず、お湯をたらいにいれて水で薄めてかぶりました。

 今回は、雪が降った今頃ならちょうどいい湯温ではないかと思って来たのです。

 ところが、まだ寒さが不足らしい。

 湯口から流れ落ちるけっこうな量の57度そのままの源泉、浴槽の湯温はきっと50度近くあるのではないでしょうか。

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 なんとか必死の思いで湯船から脱しました。

 しかし、せっかく来たのにこれで終わりじゃおもしろくないと思い、この後かけ湯を何度もして入り直すこと2回。

 不思議なことにけっこう心地よく感じられてきました。

 それでもまだ足や手のつま先がジンジンします。

 結局3回入り直して、累計入浴時間約10分熱湯につかりました。

 このお風呂で、石川五右衛門を想像したのは私だけではないと思います。。。

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 ところで私流温泉七不思議の一つなんですが、以前の夏も今回も同じ光景に出会いました。

 それはいずれのときも私が上がった頃に、地元の方らしいじいさんが入浴しに来ました。

 どうも地元の方々は平気でこの熱湯に浸かるようなんです。

 しかも一番熱い湯口の近くへ。

 私とたいして違わないような体格と皮膚のようですが、彼らはまるでアクアスーツでも着ているかの如くです。

 これも訓練のたまものということなんでしょうか?

 江戸時代、柘榴口から入る浴槽の湯温はとんでもないくらい熱かったらしいです。

 熱すぎる湯は、たぶん衛生上のためと、夕方など大勢が入ったときに適温になるよう設定されているのかもしれませんね。

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 帰りの車ではとても気分がリフレッシュしました。

 なにか高い山を登った後のような、あるいはとても痛い検査をなんとかやり終えたときのような、

 少々虚脱感も含んだ安心感というか静かな達成感というか、そんな感覚が生じたのです。

 それとここのお湯は炭酸も多く含んだ「含重曹硫黄泉」です。

 硫黄泉ゆえほてりがすぐ脱け、炭酸泉ゆえ爽快感があります。

 冬、いつまでもあったまていたい方は、硫黄成分のない温泉のほうがいいかもしれませんね。

 それにしても(熱くて)ユニークな共同浴場ですから、ホットなファンが多いのもうなずけますね。

鳴子温泉シリーズ
 冬青空の露天風呂
 温泉で話しこかたり
 純米酒のような温泉
 鳴子温泉湯めぐり道中記
 鳴子温泉日帰り放浪記(1)
 鳴子温泉日帰り放浪記(2)
 鳴子温泉日帰り放浪記(3)