この温泉は穴場かもしれません。川渡温泉「板垣旅館」の湯へ23日の祝日に入ってきました。
孫軍団が自宅で「カマクラ」作りをするというので、午前早くに帰った一昨日。
暇を持てあまし気味の私は、いつものように鳴子温泉郷へ日帰り湯めぐりにでかけました。
ところが。。。
鳴子途中の岩出山から猛烈な「地吹雪」です!
だいぶ鳴子に近づいたので、引き返すのも損と思って車を走らせました。
こんな吹雪で前方が見えないのにヘッドライト点灯を節約する人がいるのには、びっくりというよりがっかりしてしまいます。
相手に見えるようにヘッドライトを点けるという考え方がないのでしょうね。。。
「これがニホンだ〜、ニホンのくに〜〜だ♪」なのかな?
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そして着いたのが川渡温泉での未踏峰「板垣旅館」です。
隣は有名な「玉造荘」ですが、そこは県職員や教職員互助会指定で毎年無料券が配られ、父の券で私も何度か泊まったことがあります。
しかし、ここ「板垣旅館」はあることさえ知りませんでした。
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新館の玄関は強風のため閉まっていたので、自宅の玄関で受付させていただきました。
障子のかげの炬燵から起き上がって迎えてくれたご主人は80歳くらいのもの静かな方でした。
「どこからいらしたんですか?」
「涌谷から来ました」
「向こうはこっちみたぐに雪降ってないでしょうがらね」
お風呂場まで案内していただきました。
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案内された新館は、こんな小さな旅館なのになんてこぎれいな!と感じさせる造りでした。
吹き抜けの広いロビー、壁にはたくさんの絵画が飾られています。
宿泊の部屋もそっとのぞいてみたらとても清潔で、だれもいないのに暖かくなっていました。
帰りにご主人に聞いたら、ここは素泊まりだけ(4800円)しかしていないそうです。
素泊まりだけというのは持ち込みオーライなので、かえって今風かもしれません。
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いよいよ温泉に入ります。
先日の川渡共同浴場の湯と似た感じですが、こちらは色がやや淡白な薄緑色です。
入ってみてびっくり!
重曹硫黄泉なのですが、共同浴場の湯とは感じが全然違います。
とてもなめらかで柔らかく、それでいてさっぱりした感じがするのです。
湯の中にはけっこうな量の細い「湯の花」がゆらゆらとただよっています。
私は思わず「野菜スープ」を連想してしまいました。
緑の野菜を何種類か煮込んだスープに少量の片栗粉をとかし、そこにやはり少しだけ卵の白身を溶き入れてかきまわし、とろ〜っとさせた感じです。
「硫黄」がスパイスといったところでしょうか。
温泉成分表を見ると、この温泉はは硫黄、重曹の他に「ナトリウム」も多いことがわかりました。
なるほどです! ナトリウムが多いので、硫黄主体の温泉でも柔らかく温まる湯になっているんですね。
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風呂から上がって、ロビーを眺めていたらこんな表札?がありました。
それにこんな絵も。
帰りにご主人に聞いたら、ここは戦時中東京都台東区の子供たちの疎開先になっていたんだそうです。
私はご主人に尋ねました。
「今でも親交があるんですか?」
「いいえ、もうみんな80歳を超えてしまいました。しばらく前までは近くに来たといって寄ってくれた人もいましたが、今はもう誰も来ませんね」
ご主人とは障子を通しての話でしたが、見れば炬燵にいるのはご主人ただ一人。
食事付きの宿泊を提供できなくなった理由もわかったような気がしました。
一抹の寂しさを感じながら、このような「いい湯」「いい宿」は、なんとか長く続けてもらいたいものだな〜としみじみ思いました。
帰りも地吹雪、こんな日に日帰り湯治に来るような変わり者はきっと私だけでしょう。
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