「トイレまんだら」という本

 妹尾河童(せのおかっぱ)さんの『河童が覗いたトイレまんだら』という本を読みました。まさに「うんちく」を傾けた本でありました。
 先日、友人のデザイナーゴリランジェロ氏の事務所でトイレを借りました。

 そこには数冊のおもしろい本がありました。

 場所ゆえか、この「トイレまんだら」にとても心惹かれ、借りてきました。

 著者の妹尾河童氏は、異色のアーティストというかデザイナーです。

 この本は「有名人のおトイレ見聞録」という趣で、著者の精密なトイレイラストと各有名人のベン論がその中身です。

 その有名人たるや、作家、俳優、学者と分野が広く貴重な「文化人生態学資料」ともいえそうです。

 週刊文春で1989年から1年間連載されたようです。

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 著者の精密なスケッチと、トイレを覗かれた方々のユニークなお話し。

 笑いを通りこして「人間の原点」みたいなことや、「トイレの崇高さ」まで感じさせられました。

 それにしてもみんなトイレをスモールハウスのように愛していることがわかります。

 愛読書の本棚やら、化粧台やら、趣味の世界やらが設置され、さながらマイ・コックピットといえそうです。

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 番外編には、古今東西、世界のトイレのあれこれが紹介されており興味深いものでした。

 「便学のすゝめ」の著者?である私のデータベースとして一部イラストを引用させていただきます。

   →「便学のすゝめ」

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 これは荒俣宏さん所有の明治時代の便器です。

 私たちが小さい頃、まるで花瓶のようなこんな手の込んだ紋様の便器がたしかにありました。

 小便器は「朝顔」なんてよばれましたから、花瓶のような、ということにもうなづけます。

 汚しちゃいかん、ということを知らせる意味もあったのでしょうか?

 それとも癒やしの場にふさわしい美しさを求めたのでしょうか?

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 農家の便所は母屋と離して建てられましたが、町場の家は便所がこんなふうに母屋の中にありましたね〜。なつかしい。

 こんな廊下の外れにあっても、外にある便所とくらべれば実にありがたいことだったでしょう。

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 山根一眞さんという作家のトイレです。
 
 『スーパー書斎の遊戯術』という本を書くだけあって、まさに超ハイテク書斎!

 すべての機器をマジックテープで壁にとめ、その日の必要に応じてトイレで仕事をふんばるそうです。

 まさに「究極の便学オフィス」ですね!

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 これにはちょっとびっくりしました。

 昔の沖縄では人糞が豚の餌だったんですね〜。

 ソーキ蕎麦の味の秘密はこれかも?

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 ベルサイユ宮殿にはトイレがなかったと思っていました。
 
 しかし。。。こんなしくみの水洗トイレが20室あったそうです。

 ルイ15世が宮殿があまりにも不潔だったので、改装のときに作らせたとのことです。

 全然足りなかったようですけどね〜。

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 これは13世紀中世イングランドの水洗トイレとのことです。

 不潔時代といわれる中世に、このようなトイレもあるにはあったんですね。

 三階建てとはびっくりですが各階に住む人はとてもべんりだったことでしょう。
 

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 古代ローマではお玉に水をとってお尻を洗ったらしい。

 ローマには144カ所の公衆トイレがあって、それがすべて水洗式であったらしい。

 手動ウォッシュレットは2000年前にすでにあったんですね〜、TOTOさん?

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 最後にこんなお話が書かれていてびっくりしました。

「大田区立郷土博物館」西岡館長のお話

 日本人のトイレットペーパーの使用量は、平均一日で男性が3.5メートル、女性が12メートルです。

 それを換算すると、一日に地球の赤道をグルグルと10周巻いてもまだ余るほどなんです。

 実はトイレットペーパーを使っているのは、世界の総人口の三分の一で、三分の二の人たちは紙を使っていません。

 紙は森林伐採の問題にもつながっています。・・・

 ウォッシュレットが発売されたのは1980年、この談話は1989年頃です.

 ウォッシュレットはだいぶ普及したでしょうが、人口増加もありますから、今でも同じくらいのトイレットペーパー消費量ではないでしょうか。

 私もだいぶ使っているので少し反省です。。。

  →トイレットペーパーのサイト