映画「ジヌよさらば」観ました!

 楽しみにしていた映画がついにやって来ました。漫画も傑作ですが、映画もえがった〜!
 宮城県加美町出身で私と同世代のいがらしみきおさんが描いた傑作漫画を松尾スズキさんが映画にしました。

 「ジヌよさらば〜かむろば村へ〜」という映画です。

 土曜日封切りでしたが、日曜日にMOVIX利府でさっそく観てきました!

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 全4巻の漫画はとってもおもしろく、三回読みました。

 映画化すると聞いて松尾スズキさんの著書も読みました。

   →松尾スズキさんと『かむろば村へ』

 そんな傑作が陳腐な映画になってしまったらどうしよう。。。と、少なからず不安でした。

 同時に、映画監督の松尾スズキさんがユニークというか鬼才なので、どうつくるのかな〜という期待もありました。

 さて「MOVIX利府」は春休みのせいでしょうか子供連れも多く、長蛇の列のチケット売り場です。

 少し遅れて入った館内、座席は八割方埋まって盛況です。

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 原作漫画を読んでいたのは吉と出るか凶と出るか?

 結果は「吉」でした!

 予告編を見た限りでは、主人公を松田龍平演じるのは少しかっこよ過ぎじゃないかな〜?とか、

 もう一人の主人公「村長」を演じるのが阿部サダヲはちょっと軽すぎないかな〜?とか思ったものです。

 さらにあの小悪魔女子高生「青葉ちゃん」を演じる二階堂ふみって色っぽいだろうか?とも。

 あまり心配しなかったのは松たか子演じる「村長の奥さん」と、村の神様「なかぬっさん」を演じる西田敏行でしたね。
 
 松たか子はさすがですね〜。やさしくて元気で色っぽい。


(田植えをしているのが主人公、その横にいるおっさんが村長、写真を撮っているのがなかぬっさん)


(女性が村長の奥さん亜希子さん、子供が村長の婚外子でなかぬっさんの孫、進)


(女子高生のくせに美人局、青葉ちゃん)

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 映画の筋はほぼ原作に忠実でしたが、さすが鬼才はちがいます。

 最後で思わずグッと心に来る言葉。。。

 漫画にはない言葉ですが、原作の精神をしっかり伝えた言葉でした。

 私も思わず目頭が熱くなってきて。。。となったとたんに、今度は最後の大笑い!

 いや〜〜、原作も映画もエッチで実にいいな〜〜。

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 ひとつだけ少し残念なことがありました。

 それはホモの「みんちゃん」ちの腰の曲がったおばあさんが出ていなかったことです。

 このおばあさんは腰がすっかり曲がったまま固定し、移動するたび「ぎっぎっ」という擬態語だけで登場します。

 漫画にはセリフもないし、腰が思い切り曲っているため顔も見えません。

 ところが、そのつど着ているものや運びかたでばあちゃんの気持ちがよくわかるのでした。

 そのかわり福島県柳津町のみなさんが大勢登場してくれて、本生のばあちゃん、じいちゃんの味わいをたっぷり醸し出してくれました。

 (本来なららいがらしさんの地元宮城県加美町の小野田地区か宮崎地区、もしくは禿(かむろ)岳のある大崎市鬼首(おにこうべ)地区が舞台であったことでしょうが)

 さらに「ぎっぎっ」のおばあさんの代わりに、松尾スズキ監督は自ら演じる村長と因縁のやくざをびっこの設定に変えました。

 後半の重要な役割を演じるこの悪役を見て、私は「マルサの女」の山崎努を思い出しました。

 そして、私と同じようなびっこ歩きの松尾監督演じる悪役に感情移入したのでした。

 けっこうびっこ歩きの悪役って味と迫力が出ますね。

 ところで、この漫画(映画)は「ほでなす(馬鹿者)」という方言がキーワードでもあります。

 宮城の方言であるこの「ほでなす」を、ロケ地の会津で自分たちの方言のようにして使うというのもおもしろいことでした。

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 ここ数年、映画好きを自任していた私は映画館から遠ざかっていました。

 CGに頼りすぎる、味のある俳優がいない、筋書きがワンパターンである、めまぐるしいカットが気にくわない、などが理由です。

 しばらくぶりに行った映画館でした。

 さて、映画が終わって観客を見てびっくりしました!

 なんと、観客のほとんどがまるで「かむろば村」から村長のマイクロバスに乗せられて来たようなお年寄りだったのです!

 しばらくして自分も同じだ、と気づいたのでした。

 それにしてもこの映画と原作漫画は一見の価値ありですよ。

 実はとても「深いお話」なんです。

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