点滴ポール、生き抜くという旗印

 「一番弱い場所に、一番強い心があった」 岩崎航(わたる)さん、現在40歳。筋ジストロフィーと闘いながら詠む彼の五行詩に強く圧倒され、励まされました。
 詩集『点滴ポール 生き抜くという旗印』と出会いました。

 人生観をゆさぶられる思いがしました。

 ここに引用する二つの詩だけで、多くの人が私と同じ心の変化を起こすはずと確信します。

 この「魂の詩人」は、私が住む宮城県の方と知って、なおさら驚きと親しみを感じました。

 苦痛と闘いながら病床で句を詠んだ正岡子規とも重なります。

 出会いは、この詩集にガツンときた谷川俊太郎さん、糸井重里さん、阿川佐和子さんの鼎談を聞いたことがきっかけでした。

 谷川俊太郎さんは、この詩集に次の献辞を寄せています。

 病む弱い体が

 こんなにも健やかな

 強いタマシイを

 育むことができるのだと知って

 感動し励まされました。

 あなたを尊敬し、誇りに思います

      谷川俊太郎

 引用した一篇の繰り返しになりますが、現代社会のだれもが思いを致すべき一節と思います。
 

 管をつけると

 寝たきりになると


 生きているのがすまないような

 世の中こそが


 重い病に罹っている