生物でもっとも強力な感覚とは「嗅覚」だと思います。鮭は何千キロも離れた海から匂いを頼りにして故郷の川へ産卵に戻ります。四つ足の動物もみな匂いで行動し棲み分けをします。社会性昆虫はフェロモンで集団が統率されます。人間だって「色香に惑う」という言葉があるくらいです。
嗅覚器官は生物学的に最も原初的なもので、生存に最も重要な器官であるそうです。いかなる原始的生物にも嗅覚(味覚も含む)器官は存在しており、食物や環境が自分にとって毒か否かを判断しているそうです。
犬などは視力がとても弱いため匂いで世界を認識しているらしく、以前教育テレビで「犬の匂い地図」なるものをつくった方の番組を見て、なるほどと思ったものです。
人間社会は視覚優先になっているように見えますが、人間だってやはり動物です。普段はあまり意識しませんが、一番根本的な感覚は「嗅覚」に違いありません。
しかし、頭脳が肥大化した人間にとって「匂い」は鼻で感じるものだけでなく、今や脳で感じるものに進化していると思います。プルーストの小説『失われた時を求めて』の紅茶に浸したマドレーヌのごとく、「匂い」が一瞬にして脳に全ての記憶を蘇らせてくれるというのは、誰にも似たような経験があるのではないでしょうか。
それゆえ、人の心の深奥に届くブランディングとは「良き匂い」を醸し出すということに尽きるのではと思うのです。それは「香り」という言葉が合っていそうです。
かく言う私も、「真心の香り」「知性の香り」を少しでも醸し出す努力をしないと年を重ねてきた意味がないな~、などと思いながらこの文章を綴っています。加齢臭はまあしょうがないとして(^_^;)
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このシリーズは脚本:私ノボ村長、絵:同級生ゴリランジェロ氏のコンビで作成しております。
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