利益は備えを引いた残りなり

 ジョンソン&ジョンソン社の経営理念「我が信条」と出会ったのは、今から14年前の2005年のことでした。私にはとても衝撃的でした。

 →雪の鳴子で熱い話 

 美辞麗句の格言みたいな経営理念が多い中、その経営理念は「掟」だったからです。

 「私たちはユーザーに、社会に、従業員に、株主にそれぞれこう約束します。これはしません」という宣言だったのです。その約束一行一行に対応するように、あらゆる仕事の基準やしくみが組まれていたのです。

 何よりも約束の最後に「株主」が来る、つまり優先順位が最後というのがとてもびっくりしました。

 それまでは、欧米大企業は(行きすぎた)株主優先が当たり前と思っていました。しかし米国が誇る百年も続く名門企業が、実は佳き時代の日本的経営のような、倫理観あふれる経営理念をもつ企業であったのです。

 感動した私は一週間もかけて文言を考え、自社の経営理念を書き換えました。

 →レッツ経営理念

 退職した今、改めて「我が信条」を読み返すと、もうひとつ教わることがあることに気付きました。それは、「利益」についてです。

 普通、私たちは「利益」の後に「投資」や「蓄積」があると考えます。ところが「我が信条」では、「投資」や「蓄積」を引いた残りが「利益」であるという考え方なのです。

 つまり「投資」や「蓄積」は企業存続の必要条件であり、「攻め」ではなくて「備え」であるということです。この考え方こそが「経営者の掟」であると、しみじみ思ったのでした。

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 このシリーズは脚本:私ノボ村長、絵:同級生ゴリランジェロ氏のコンビで作成しております。

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