幸運な間違い配送

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 つい先日、amazonにある本を発注しました。新品在庫がないようで出店している古書店から求めることになりました。ところが、着いたのは注文した本とはまったく関係がない本でした。

 その旨お店に連絡したら、「破棄して下さい。返金もします」ということでした。一応、あらためて別な店へ再発注して目的の本は入手しました。誤配送の本はもちろん破棄はせず、近いうちに読もうと思っていました。

 誤って送られてきた本、それは今年春に出版されたばかりの原田マハ著「美しき愚かものたちのタブロー」という本でした。なんたる巡り合わせか!画廊勤務の経験がある私にはとても嬉しい絵画に関する実話をもとにした小説でした。

 国立西洋美術館の収蔵品のほとんどを占める「松方コレクション」と、それに関わった4人の男の数奇な運命を描いた(ほぼ実話の)小説でした。(たしか今、松方コレクションの特別展が開かれているはず?と思って調べたら残念ながら先月で終わっていたんですね。。。)

 超大型台風が近づいている今日、女房から外出禁止令が出たため、そろそろ来るかな?と時折テラスの外の風雨を観察しながら、一気に読み終えました。さすがにニューヨーク近代美術館勤務を経験した作家だけに、文中、絵画の紹介にも奥深いものがありました。

 小説ではモネ晩年に描いた「睡蓮」とゴッホの「アルルの寝室」が作品の主役となっていますが、私がけっこう好きなウジェーニ・ブーダンなども出てきて嬉しい思いがしました。この作家の複製絵画が近所の食堂に飾ってあって、風強き大海を渡る雄々しき帆船の姿を見ると清々しい気分になったものです。

 それにしても私の祖父母の時代(明治生まれ)はスケールが大きい人たちが多かったな~と思わざるを得ません。教養もちがいますね。

 今をときめくITベンチャー大富豪も、本人が行くらしい月旅行もいいですが、世界の人々を感動させる芸術にも、もっと関心を持って大きな器を準備してもらえたらありがたいな~と思いました。

 偶然の間違い配送、たまには現代作家の小説も読むんだぞ!という天の声だったのかもしれません。

 あっ!急に雨風が強くなってきた。みなさんもどうぞお気を付けて!