子ども忍者サクスケ、その妹さっちゃん。いよいよゲンパツヤと世紀の戦いです!しかしそこには思いもかけないもう一つの敵がいました。どうなる?正義の少年忍者たち。
前号はこちら→「子ども忍者サクスケ参上!」
仙台のあまりキレイとはいえないデザイン事務所を後にした「サクスケ」と「さっちゃん」が向かった先はどこか?
彼らがゆうべ話していたことを聴いてみよう。
さっちゃんが泣きそうな声でサクスケにこんなことを言っていた。
「お兄ちゃん、ゲンパツヤってものすごい数がいるじゃない。そいつらのお城だって五十四もあるわよ。わたしたちだけじゃどうにもならないと思うわ〜〜」
サクスケもためいきをついた後、少し沈んだ声で妹忍者さっちゃんに答えた。
「うん。お前の言うとおりだと思うよ。。。だけど何か方法があるはずだ。。。今それを必死に考えているところさ」
しばらくしてサクスケは、ハッと何か気づいた顔をして思わず独り言をしゃべった、
「そうか!今は太刀打ちができなくても、ゲンパツヤがこの日本にやってきた頃ならなんとかなりそうだ。思い切って歴史を変えるんだ!」
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翌朝、空が白み始める頃サクスケとさっちゃんは忍術をつかって50年前の日本に向かった。
あまりキレイとはいえないデザイン事務所に、一緒に泊まってくれていたゴリランジェロから、彼のいつもの朝食であるバナナ1本をもらって。
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50年前の茨城県東海村に彼らはやってきた。
「さっちゃん、忍者めがねをかけて周りを見てごらん。一体何が見える?」
このメガネをかけると、まるで暗視カメラのように、人の目に見えない魑魅魍魎(ちみもうりょう)やら妖怪やらがはっきり見えるのだ。
「サクスケ兄ちゃん!スゴイ数の妖怪たちがいるよ。空には外国製の黒船が浮かんでいるし、怖そうな顔をした青鬼みたいな人たちもいっぱい乗ってるわ!」
「あっ!お兄ちゃん。白装束の忍者もいる!あいつらは大江戸効率忍者学校のやつらよ。ほら、学校の玄関に『時は金なり』『金こそ力なり』って大きく掲げている、いあや〜な連中が入る学校よ」
白装束の中に、みなに指示を下しているリーダーがいた。
サクスケは思わず叫んだ!「あいつはアクスケじゃないか!あいつがゲンパツヤに加勢していたとは・・・」
向こうも二人に気づいた。アクスケはビックリして、あわてて黒船から落ちそうになった。
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アクスケはサクスケたちを手招きした。サクスケとさっちゃんはそれに従った。
「おめ〜ら、いったい何しに来たんだ? まさか俺たち忍者とこの世の力にあこがれる連中が団結し、苦労して作りあげたこの『ゲンパツ』の邪魔をしに来たんじゃね〜だろうな?」
いどみかかるように問いただすアクスケは現代なら高校生か大学生だ。ひるがえってサクスケはといえば小学6年生くらい、さっちゃんは小学3年生くらいだ。
しかし、サクスケはひるむことなく、アクスケの眼光鋭い顔を見上げてこう言った。
「いや、ぼくたちは50年先の時代を見てきたんだ。そこでは大変なことが起こってしまったんだよ!ゲンパツが爆発して日本が汚れきってしまい大変なんだ。その汚れは何十年どころか何万年も残るんだよ。未来の子どもたちがとても危ないんだ!」
アクスケはシラッとした顔でこう返した。
「そんなことはある程度想定済みさ。原爆だって落としたんだぜ。水爆だっていっぱい作ってるんだぜ。こいつら今の人間って奴は」
アクスケは少し軽蔑したような顔で、黒船に乗っている外人や日本人を見回しながら、こう続けた。
「いいんだよ。少しくらいの犠牲は。このゲンパツってやつの経済効果を考えれば安いものさ。そんな事故なんか。それに大きな声では言えないが、ゲンパツってのは原爆つくるためにあるんだぜ。政治家や軍人が最強の兵器を持ちたいのはいつの時代も変わらないのさ」
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アクスケはサクスケとさっちゃんを説得できると考えていたらしい。黒船に群がる連中のことを話し始めた。
「いいかよく聞け。後輩忍者たち。ゲンパツヤの親分たちを紹介してやろう。黒船にゲンパツを積んできたのはユーゼンハワーっていう海の向こうの大親分だ。もう一人の大親分「ロスケ」に対抗して日本を一の子分にするためさ」
「そのまわりで米つきバッタみたいにしてるのが、びっくらこくな。なんと瓦版やのおやじだよ。アクリキスギタロウっていうやつと、一本テレビジョンのゴバノっていう子分だよ。あとはマカソネとかなんとかタミントウの欲張り老中たちさ」
こいつらが黒船と組んでおおもうけするわけさ。電波独占とか、永遠のエレキ長者になるとかな。この瓦版やには越後屋も悪代官もびっくらだぜ。な〜に、このヨミカイ新聞以外の夕日新聞だって毎年新聞だって似たようなもんさ。みんなつるんでるんだよ。逆らったら怖いしな」
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さっちゃんが真っ赤な顔でほおをふくらました。
「アクスケさん、何言ってるの!いい年して。お金がいくらあったって、食べ物が汚れたらおいしいお団子もおまんじゅうも食べられなくなるじゃない。お金でもなめるのかしら?あなたたちは」
サクスケも続く。「一度行ってごらんよ。五十年後の東北に。自分がそこにいたら同じこと言えるかい?」
アクスケも負けずに声を荒げて返す。「おめ〜らも経済学とか政治学とか確率論とかだな、そのような高等学問を勉強すれば俺と同じ考えになるんだよ。まだまだおめ〜たちは幼いんだよ!ぎせいを乗り越えて人類は進歩するんだ、このバカ!」
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もうこれまでとサクスケは思った。ここで絶対にゲンパツヤを阻止し、別な未来をつくろうと決心した!
さすがに大江戸忍術小学校の級長さんだ。そしてその兄を信じるけなげで真っ正直なかわいい妹だ。
サクスケはまず「火(カ)トンの術」で戦いの火ぶたを切った。大空をスクリーンにしてゲンパツ爆発の映像をこの時代のみなに見せるのだ。
なにくそ!とアクスケは「金(キン)トンの術」で立ち向かう。空から金をばらまくのだ!
キントンの術は実に強い。みんな金を集め始めた。
サクスケ、次なる術は「水(スイ)トンの術」だ。津波の音響、その映像、その冷たさを皆に感じさせる高等テクニックだ!
対するアクスケ、こんどは「いいくるめの術」を使ってきた。黒船から大音響の音声を流し、綺麗なチラシを大量にばらまくのだ。
「電気が足りなくなりますぞ!寒くなりますぞ!」「日本は貧乏になりますぞ!負けますぞ!」「金がなくて暮らせますか?あなた方は?」
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戦いの結末は次号で!
※「サクスケ」は忍者サスケからヒントを得て、ゴリランジェロ&アガのデザインチームが生んだB級スナックのキャラクターです。が、もろもろの事情で没になったキャラクターです。
「書きなぐり連載小説 子ども忍者サクスケ参上!」
プロデューサー:アガ
脚本:ノボ
賛助出演:ゴリランジェロ、リョウ、ラン
撮影協力:ノックス
このブログシリーズはfacebookでfacebook仲間の強い執筆要請にて、やむなく急ぎ制作されました。作品品質についてはなにとぞご容赦を・・・今後も。