後からなるほど「さや侍」

 お目当ての洋画を観ようと車を飛ばして映画館へ、ところがそれはcoming soonでした・・・。残念!せっかく来たんだから今上映している映画なら何でもいいや観ていこう、と選んだのが「さや侍」

 ゆえあって刀を捨てた侍、「さや」だけ差して幼い娘とともに脱藩したがあえなくつかまり牢獄へ。しかし切腹までに三十日間の猶予を与えられる。その間に母を亡くした悲しみで笑いを忘れた若君を一度でも笑わせたら無罪放免ということになる。その三十日間のお話です。

 それにしても三十種類のお笑いネタをよくもまあ作ったもんです。最初は、なんとも軽くて笑ってしまうだけなんですが、だんだんと映画の脇役たちも私たちも主人公を応援するようになってくるんです。

 主人公の侍役は見たことあるようなないような?娘役の子役もそのへんにいそうな女の子、でもこの子はとってもうまい!最後は気持ちのいい涙でなかなかの映画でした。

 さて、エンドロール、誰も席を立ちません。私も出演者や制作者の名前を読んでいたら、なんと監督・脚本はあのダウンタウンの松本人志さんだったんです。この映画は「お笑いの求道者」まっちゃん自身の物語だったに違いないと私は確信しました。

 帰ってからネットで調べたら、主人公はなんと新宿ゴールデン街でバーテンをしている五十四歳の素人のおっさんだとわかりました。それでこの人のセリフがほとんどなかったのか、と納得?です。

 でも彼の体当たりの演技がこの映画を支えていました。それに役作りのためか、私の錯覚か、上の前歯が一本しかなかったように見えました。その前歯がある場所は、まっちゃんの前歯がちょうどなかった場所みたいだったんですが・・・もしかしてそこまで凝ったのかも知れません。

 もうひとつ後から思い出しました。なんと3月11日の大震災以来はじめて映画館で観た映画だったんです。映画館は石巻のジャスコにあるんですが、今日は店も超満員、映画館でも笑い声が多く聞かれました。少しづつ少しづつ普通の生活が戻ってきてるのかな〜と、これも後から感じたことです。