今朝「てんとう虫」という月刊誌が届きました。その表紙はたった二行の縦書きだけでした。気持ちが落ち着きました。
この雑誌はカード会社で発行している契約者サービス用の月刊誌です。実は社内の誰かが過去号を私の机においていってくれたのでした。
パソコンで細かい横文字だらけの画面を見過ぎているせいか、こんなにシンプルな表紙、しかも「縦書き」を見るとホットします。ページを開いてみようか、という気持ちになります。
しかし変です。本は相変わらず縦書きで昔から変わりはないのに、どうして同じ書籍であるのに、これが新鮮に感じたのでしょう?
たぶん、一般的な雑誌というものへの「刷り込み」があったせいでしょう。「これでもか!」というように、表紙に特集タイトルをごてごてと盛りだくさん。C級情報で末梢神経を攻撃してきます。
そんなイメージを逆転させたデザインにすると、末梢神経ではなく心に届く感じがします。
今、ネットでも「縦書き」がけっこうブームになってきているのではと思うんですが、私たちのそんな感性の変化を、デザイナー連が敏感に捉えはじめてきたからではないでしょうか。私は大歓迎です。
たとえば、これは「無印良品」のサイト
こちらは私のfacebook 仲間がデザインに関わっている「倫理研究所」のサイト
なんか落ち着きます。私たちオヤジが入っていける、というより私たち世代(と同感性を持つ人々の)ためのサイトだな、と直感します。
たかが「縦書き」と言うなかれ。私はこんなことに、重要なコンセプトの転換があるのだと思います。それはこんなふうに。
○「情報」というものが「量」から「質」への転換を迫られている
○「シンプル」「親しみやすい」「あたかかい」そんなライフスタイルへの回帰が促進している
○中年以降の世代が積極的に情報発信(自己表現)したいと思ってきた
その結果、向田邦子さんの静かなブームが示すとおり、「昭和」への積極的な回帰がはじまろうとしているのだと思います。私たちの世代はその時代を生きたし、その時代の良さを覚えているからです。(もちろん良くないこともたくさんありましたが)
それを「レトロ」と言うなかれ。私の友人がこんな名前のサイトをつくりたいな〜と言ってました
「昭和の忘れ物」
今、単なるノスタルジアではなく、良き未来を創るための「温故知新」が、私たち昭和20〜30年代生まれの世代から生まれようとしています。
(おまけです。こんなサイト発見しました)
「八軒家かいわいマガジン」