ハンクローとは犬の名前です。かつてサマセット・モームの小説「赤毛」を読んだとき、ハンクローの写真を思い出しました。
私は大の犬好き。だから犬を飼っていないんです。というか飼えないんです。。。
鎖でつなぎっぱなしにしたり、猫のように部屋犬にしたりとかがだめなんです。犬の野性を損なっている気がして。
それと、中学三年生の時に愛犬と死に別れたことが、今でも心の隅に残っているからなんです。
昔飼っていた愛犬「チビ」には子どもがいました。
その子犬の名前が「ハンクロー」でした。
もう一度『思い出アルバム』を開いてみます。
『思い出アルバム』には、母犬「チビ」とその子「ハンクロー」がたわむれている写真がある。とっても可愛い子犬だった。母親の「チビ」は白い雑種の犬だったが、小学生だった私は「チビ」はけっこう気品があると思っていた。
しかし「チビ」はダメンズ・ウォーカーのようだった。人間と同じで、可愛い犬はどうもダメ犬の粘り強さに負けてしまうようだ。私が追い出しても追い出しても性懲りもなく通ってくる足の短い黒い野良犬と、ついにデキてしまったのだ!
そして、生まれた子犬が「ハンクロー」だ。母親から半分、父親から半分それぞれ色が遺伝した。半分白くて、半分黒いぶち犬だった。なので、私は「ハンクロー(半黒)」と名付けたのだ。私の足にじゃれついてとっても可愛い子犬だった。
ある日、可愛いハンクローを見た人から、ぜひ譲ってくれないかと強く願われた。別れはつらかったが、ハンクローの幸せを考えてその人にあげることにした。ハンクローの里親はけっこう離れた町の人だった。
それから一年以上も過ぎたある日、ハンクローの里親から手紙が届いた。中には、ハンクローの写真が入っていた。びっくりした! ハンクローからは母犬の面影がすっかり消え、あの父犬そっくりの顔つきと体型になっていた・・・
私は里親をだましてしまったような気がした。チビにも写真を見せた。チビもきっとわが子とは気づかなかったことだろう。私はけっこう落胆していた。よく見ると、写真の後ろに何か書かれているのに気づいた。
そこにはこう書かれていた。「元気に暮らしていますよ」私はとてもホッとした。飼い主さんの温かい笑顔が目に浮かんだ。そして、もういちどハンクローの写真を一緒に見ながら、チビをやさしくさすってあげた。