宮崎駿さん引退のニュースが新聞の一面をかざりました。同じ日の新聞にちょこっと出ていたメーヴェの記事にびっくりです。
あの名作「風の谷のナウシカ」でナウシカが乗っていた飛行体「メーヴェ」を、10年の歳月をかけて実際に作った人がいるんです!
それもエンジニアではなくて八谷和彦さんというメディアアーティストです。
朝日新聞 2013.9.7
宮崎駿監督の代表作「風の谷のナウシカ」で、主人公が操る小型飛行機「メーヴェ」を模した機体を実際に作って、飛んだ人がいる。メディアアーティストの八谷(はちや)和彦さん(47)。ネットで動画が公開され、再生回数は24万回を超えた。両翼の長さはあわせて約10メートル。ジェットエンジンを格納した機体は長さ3メートル弱。尾翼はない。・・・
動機がこれまたユニークです。
「むしブロ」より引用
アメリカがイラクを侵攻したとき、日本がいとも簡単にこれを是認し追従したことに憤慨した八谷さん。「俺はナウシカにはなれないけれど、ナウシカみたいな人が現れた時に、生まれた時に乗るものを作ろう」と誓った。そして、OpenSkyと名付けたメーヴェの開発プロジェクトをスタートさせた。2003年のことだ。
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ナウシカはアニメのヒーロです。
しかしナウシカは決して「強きヒーロー」ではなく、私たちと等身大の「優しく、そして哀しきヒーロ」です。
ナウシカの心は、小さい頃なら誰でも(多くの子どもたちが)持っていた心ととても近いものでしょう。
ですから、この方は未来のナウシカのために乗り物を作ってあげたくなったのでしょう。
決してふざけたり、受けを狙ってこの飛行機作りをしたわけではないと思います。
軽い気持ちで10年間も試行錯誤を続けることなどできません。
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「いい大人が」と笑う人もいるでしょう。
しかし、ナウシカが(アニメの中で)生きていたあの腐海の森や巨神兵、爆撃機。。。
それらは人間界の勝ち負けのために、際限なく自然、生命を破壊する凶悪な産物でした。
それらは「いい大人」が作り出したものです。
私たち現実の「いい大人」も、まともな仕事のように錯覚しながら原爆や原発を作り、それなしでは生きていけないと思っています。
ナウシカの世界と同じように、人間界の勝ち負けのためにつくられた取り返しのつかない禍々しきものばかりです。
いったいどちらを大人と言うべきでしょうか?
この「ナウシカの乗り物を作った人」と、「原爆や原発を作る人やそれを許す人たち」と。
司馬遼太郎さんが宮崎駿さんを評して言った言葉をかみしめなくてはいけないと思います。
「宮崎さんは、ご自分の中の子どもを、実に大切になさっていますね」