石が燃料、自転車が動力

 アフリカならではのアイデア道具のあれこれを知りました。石が燃料とは想像を絶しています!
 『ソトコト』2月号で知ったんですが、アフリカにはとってもユニークでエコな道具がつぎつぎ生まれているようです。

 アフリカの生活改善に取り組んでいる各国の企業や団体が開発しているようです。

 開発企業や団体の金儲けではなく、住民にとって本当に必要な道具を具体化しているようです。

 また、それらの製作や販売、メンテなどで住民にお金が回るしくみにもしているようです。

 何よりも特徴的なのは、「今そこにあるもの」を利用するコンセプトです。

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 まずはユニークな「万能調理ストーブ」です。

 ローテクですが、燃焼しながら発電もするという便利なアイデアストーブのようです。

 燃料に「まき」を使わないストーブなんですが、開発の背景にはこんなことが。

 アフリカでは、多くの場合、料理をする際に質の悪い灯油や薪、木炭などを使用している。しかし、薪を集めるために、子どもが学校を休まなければならなかったり、女性が森林で暴行にあったりと、様々な弊害が生まれている。さらに火をたく際に発生する煙のせいで気管や肺の重大な感染を引き起こし、毎年100万人以上が死亡している。

 このストーブはなんと!、主要燃料として、毎日使っても2年は持つという「特殊な石」を使用し、副燃料として「庭ゴミから造られた練炭」が使用されている、というのです。
 

 えっ、「石」が燃料になる?

 日本にも、漁師が浜辺で焼いた石を鍋に入れて瞬間的に調理する「カヤキ」という調理法があり、私も食べたことがありますが、その応用なのでしょうか?

 さらに自分たちの出したゴミからつくった「練炭」を使うなんて、なんと洗練されたエコ思想のローテクストーブなのでしょう!

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 アフリカではないのですが、もうひとつ紹介したいのがあります。

 中央アメリカ・グアテマラの「ちょっと小粋なチャリマシーン」です。

 自転車は「移動手段」とばっかり思っていました。

 (いや、トレーニングセンターでは贅肉燃焼装置でもあるかな?)

 ところが、グアテマラの村落ではペダルの動力を最大限に生かした「自転車マシーン」がいたるところで活躍しているらしいのです。

 この写真は、お年寄りがペダルをこいでオ新鮮ジュースを攪拌しているとのことです。
 

 なるほどこんな使い方もあるのか、とびっくりします。

 「トウモロコシ挽き」「水のくみ上げ」・・・

 「人馬(じんば)一体」ならぬ「人輪(じんわ)一体」の究極のエコ・マシーンです。

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 これらの記事を引用しながら思います。

 私たち「文明人?」が生み出している「文明の利器」ってなんと野蛮なのでしょう。

 ガソリンを食い排気ガスをまき散らす戦車のような自動車、乗れば乗るほど足腰は弱り、トレーニングセンターで無駄な車輪回しをしている。

 捨て場所のない壊滅的な廃棄物を生じる原発。たかがお湯を沸かすだけなのに。

 本を読めない頭に変えるスマホ。

 漢字書きや計算能力を退化させていくパソコン。

 人を凶暴にさせるゲーム機器。

 停電すれば何もできない「オール電化」。

 (野蛮文明人から脱皮できない自分の反省でもあります。)

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 10年くらい前でしょうか、テレビでペルーのインディオの母娘を東京に招待し、大都会の文明(?)を見せつけた番組がありました。

 ジャガイモと湖の魚でつつましく生きている貧しいインディオは、きっと大都会つまり「文明」に圧倒されることだろう、という優越感が感じられる筋立てでした。

 この番組で、たしかにインディオの母娘は大都会に圧倒されました。

 逆の意味で。

 つまり、制作者の意図とは反対に、東京の汚染、騒々しさ、無駄、自然の消滅、異様な食べ物・・・に圧倒され、ペルーに早く帰りたいと言い出したのでした。

 ブログを書きながら、この番組を思い出したわけです。

 そして思うのは、「真に人間が使うべき道具」とはどういうものかということです。

 そのコンセプトの貧しさこそ、私たち「野蛮な文明人」の最大の欠点ではないでしょうか。

参考
  →アフリカに灯る重力ライト
  →アフリカのジュース工場