障害は才能

 なにげなく本棚を眺めたら「ソトコト」バックナンバーの背表紙に目がとまりました。「世界をよくする会社」と書かれていました。
 特殊な障害があるゆえに特殊な才能がある。

 障害者の隠れた才能を発見し、積極的に仕事に活かしていくという発想。

 これはまだまだ未開拓の分野ではないでしょうか?

 ドイツのすばらしい実践例を紹介します。


障害は才能。盲目の女性の繊細な触覚を生かし乳がん検査。

 早期に発見すれば治る確率が高くなる乳がん。

 触診による画期的な乳がん発見方法を生み出したホフマン博士が、診断士として目をつけたのは視覚障がい者たち。

 社会的に弱者と扱われているが、実は彼らは健常者よりもはるかに研ぎ澄まされた触覚をもっていることに着目した。

 目の不自由な人がもともと備わっている「才能」を磨けば、乳がんの早期発見と治療は画期的に躍進すると確信した博士。

 MTE(MedicalBreastExaminers)という診断士の資格整備と訓練所を設立。

 触診方法の考案者であるからこそのきめこまやかで的確な指導プログラムを組み、これまでに20人以上の視覚障がいを持つ女性たちが訓練を受け、MTEの資格を取得してきた。

 現荏ドイツ国内17の病院がMTEを採用し、乳がん診断士として雇用している。

 現在はオーストリアにもビジネスモデルを拡大。

 今後はイスラエル、スペイン、トルコなどにも活動の場所をひろげていく。

 考えてみれば障害が一つもないという人はいないはずです。

 完璧な人間というのはいないと思いますから。

 感覚器官の障害、運動器官の障害、思考器官の障害、だれでもこのうち何かの障害を大なり小なり持っています。

 そしてだれでも歳をとればあらゆる器官の性能が劣化してきます。

 人はすべて最終的に障害へ向かって進んでいるといっても過言ではないでしょう。

 そう考えると、障害者を活かすこということは、私たちすべてを活かすことに等しい気がします。

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 重い障害には実は天賦の才能が隠されている。

 軽い障害は工夫という才能を磨きあげる。

 障害をコンプレックスと捉えるなら、そこには「なにくそ」という覇気の種がまかれている。

 何か新たな見方が生じてきた気がします。