サッカーのように仕事をしよう

 なでしこジャパンはスゴイ感動を私たちみんなに与えてくれました。彼女たちのチームのように仕事ができたら、きっとやってる本人たちが楽しいし成果も上がるのでは?実は今日から私の会社の新年度。私のお話はこれにしようと思いました。
 と思って思い出してみたら、前にも似たようなことを話した気が・・・。昨年の6月ワールドカップの日本代表が健闘した時にも同じことを考えてみんなにメールで話していたんです。今そのメールを読み返すと言おうとしていることは今日とまったく同じです。これはそのままもう一度みんなにお話しするのがいいなと思いました。

─────────────────────────────
サッカーチームのように仕事をしよう
─────────────────────────────

(ワールドカップに釘付け)

 ワールドカップ南アフリカ大会が開催中です。

 日本が初戦勝った試合はもちろんのこと、どの試合を見てもレベルが高いので毎晩テレビに釘付けです。

 特に今回はNHKで放映することが多いためか、控えめで分析的であり、各チームの戦略や弱点などがとてもわかりやすいものになっています。

                                                                                                                  • -

(線や面で示すからわかりやすい)

 わかりやすい理由は、選手個々の動きではなく、攻撃やディフェンスの体系を複数選手でつながる線や面にして表してくれるからです。

 その面が、キーとなる相手選手の動きで収縮したり拡大したり、アメーバーのように変化する様子を見せてくれます。

 なるほど、監督や選手はこのようなイメージを共有しながらチームプレーをしているんだと気づきました。

 何か、血管の中で形を変化させながら戦う細菌や白血球の映像と似ているなとも感じました。

                                                                                                                  • -

(サッカーのチームプレー)

 複数人で行うどのスポーツも目的を持ったチームプレーです。

 しかし、スポーツの種類でチームプレーの方法が異なります。

 サッカーの特徴は、全員が常に同時に全体を把握しながら、水平的な協調行動を自らの判断で行うということです。

 これがとても不思議です。

 なぜなら、私たちはサッカー場を俯瞰する視点で見ていますが、選手達は地べたからの視点でしか見ることができないからです。

 私はサッカーを実際にしたことはないのでよくわかりませんが、魚や鳥が群れをなして、ひとつの巨大な雲のように動くのと似ているのかもと思っています。

 魚や鳥はそれぞれが隣の動きに反応する結果、あのような一体化した動きになるとのことです。

 岡田監督が日本チームの練習で「誰かが動いたらそれに反応して動け、バラバラに動くな」と言っていたので近いかなと思っています。

                                                                                                                  • -

(サッカーと仕事)

 仕事もスポーツと同じようにチームプレーで行います。

 様々なスポーツのうち、今私たちの仕事の参考になるのはサッカーだと思います。

 それは「少数精鋭」「スピード」が特に要求される仕事だからです。

 何よりも参考にすべきは、
  ・「常に全員が全体を把握している」こと
  ・「あらゆる方面に対して全員が対応できる」こと
  ・「的確な自己判断が求められる」こと

 これらの要素は、レッツルネッサンスを皮切りに来年度から進化させていくレッツの経営管理システム「Lets Way」の根本になるからです。

                                                                                                                  • -

(トップダウンとンボトムアップ)

 変動の激しい時代、世間はこぞって強い「リーダーシップ」、つまりTopDown型のスタイルを求め賞賛します。

 これはこれでいいのですが、トップダウン型だけならワンマン体制であり人は育ちません。

 人が育たなければ、一番の会社資産が貧弱なままということで未来はありません。

 真のトップダウンとは強いリーダーシップでしくみを変革し、真のボトムアップ体制を固めることだと思います。

 真のボトムアップ体制とは、サッカーのように「常に全員が全体を把握し、あらゆる方面に対して攻めと守りを固め、全員が企画力と行動力を持った自律人集団の体制」であると考えます。

                                                                                                                  • -

(具体的にすべきこと)

 それでは具体的にすべきことは何でしょうか?

 まず、できるだけ多くの「情報共有」です。検討段階のこと、他部署のこと、経営的なこと、これらをできるだけ多く皆に伝えていくことです。

 次に「皆で企画」するということです。
一番避けねばならないのは、人を下請けにしてしまうことです。「私考える人、あなた動く人」これでは人は資産ではなくて消耗品になってしまいます。
 
 企画は金もかかるし、高度な判断を要するから特定の人だけといったら、その人だけが試行錯誤の場を与えられていることになり、他の人をスポイルしてしまいます。

 決定はトップダウンでも、あらゆる企画の検討にできるだけ多くの人を参加させ、はてしない議論を重ねることが必要です。

 一般に結論が出ない会議はムダと言われますが、私はその逆と考えます。

                                                                                                                  • -

(良い酒ほど醸す間が長い)

 「良い酒ほど醸(かも)す間が長い」、延々と、しかし真剣に話し合ったことは、皆の潜在意識に蓄積され、共通感覚を育み、発想力を豊かにしていきます。

 この価値を知らずにいれば、学校や教育の真の意味も損なわれていくでしょう。

 今すぐ役立つことだけが教育の目的ではないのです。

 逆説的に言えば、無駄なダベリングの時間を確保するために、日常の仕事を効率化するのだ、というのが私の持論です。

                                                                                                                  • -

(ますます皆に相談していく)

 ですから私は、経営上のことも、新規の事業のことも何でもできるだけ皆に相談していくつもりです。

 経営者層、管理者層の皆さんも、これから決して情報や企画を独り占めせずに、会社の共通材料として、できるだけ皆を参加させて企画を進めてください。

 皆もどんなささいな情報も軽く考えず、想像をたくましくして「それは何か?」「それは何ができるのか」と考える習慣を持ってほしいと思います。

 これからレッツは多様性を急激に増していきます。

 そのような状況を迎える心構えとして話しました。

 私は、みんなが「しごと」と「人生」を何とか重ね合わせていけないかな、そういう「しごと」とはどいうものかな、と日々そればかり考えています。それでみんなの独創村というものもはじめました。

 その中にある「みんなの独創村って何?」には、私の思いを込めてあります。少し長いんですが読んでみていただけると嬉しいです。