命をつないだ蕎麦パン

 冷蔵庫復活とともに私の好物「ダッタン蕎麦パン」も冷凍庫に10本納まりました。震災以来数ヶ月ぶりに食べました。そうしたら、あの震災のときのことが昨日のようによみがえったのです。
 震災では電気も水もなし。毎日の食事はとても大変なことでした。冷蔵庫にあったのはダッタン蕎麦パン約10本。このパンで約1週間私たち夫婦は命をつないだのでした。

 久しぶりに食べる蕎麦パンに感謝の気持ちを感じました。「いざという時、人の命を救うのはお金やりっぱな何かじゃない、さもないこんな食べ物や水なんだ」と。

 それとパンの後ろに写っている葉野菜とトマトは、震災をきっかけに栽培を始めたわが家の「箱野菜」です。

 このダッタン蕎麦パンは、朝食に6年以上も食べています。ダッタン蕎麦粉と小麦の全粒粉、クルミをリンゴジュースだけでこねた黒いパンです。甘くもないし、ふんわりもしていませんが、そのぶん飽きが来ません。

さて、このパンにはちょっとしたエピソードがあります。パンに使われるダッタン蕎麦粉は中国雲南四川省、海抜3000m、澄んだ空気とキラキラ輝く太陽のもと、少数民族「彝族(イ族)」が栽培しているということです。

 以前、中国の農薬問題があったとき心配で、ネットのお店へメールしたところ丁寧な返事が来ました。

 「お問合せ、ありがとうございます。また、弊社韃靼そばの大ファンとのこと・・・大変光栄で、とても嬉しく思います。ありがとうございます。ご質問いただいた、韃靼蕎麦の残留農薬についてお答えします。弊社が取り扱っている韃靼蕎麦は、中国雲南四川省の山奥、イ族という少数民族が栽培しているものです。この地域は、貧しい地域ですので、農薬はとても使えず、自然農耕で育てられています。」

 貧しいゆえに農薬は買えない、それが食の安全につながっている、少々複雑な気持です。でも今はどうなんでしょう?成長著しい中国のことですから、もしかしたら・・・とあれこれ考えてしまう昨今です。

 (PS)

 震災のとき女川で「命を救ったかまぼこ」もあるんです。