子供が遊べる街

 「チョロQ」を本物の自動車にしたのが「Qカー」、タカラトミーで過去に100台生産しました。それをもとにコンセプトを発展させたのが「ソフトカー」です。ちっちゃな1台のバッテリーカー、しかし私の夢は広がります。

ソフトカーの背景

 昨日石巻でソフトカーに乗ってきました。ソフトカーを通じて「脱スピード社会」を提唱する小栗教授ご本人とも親しくお話をしてきました。(『脱スピード社会』は小栗教授の著書でもあります)
石巻でソフトカーに乗る!

 この本を読んで初めて知りました。小栗教授のお姉様が交通事故で亡くなられていたということを。3.11の日、石巻で幼稚園バスでお子様を亡くされた方との出会いが、なぜこんなにも先生を揺り動かしたのかということも。
ソフトカー・ダイアリー

 「車に依存しすぎた社会」そこから引きおこされる尊い命の喪失、身をもって体験した方の強く深い動機が「ソフトカー」の背景にありました。

 「ソフトカー」コンセプトの特長は、「車の排除」ではなく「人と車の安心な共存」ということです。ここから私の夢も広がります。

街全体が子供の庭

 私はこのブログで幼少年時代の思い出を何編か書いています。その頃は「三丁目の夕日」の時代で、年の差10歳くらいの子供達が群れをなして、生き生きと街中や自然の中で遊んでいました。

 この時代の思い出は、私たちの世代の貴重な財産です。今でもこの時代の経験が感性や考え方のもとになっていることを、最近とくに感じています。

 それとともに「三丁目の夕日」の街がもはやなくなってしまったことに対して、何もできなかったという後悔の気持ちがありました。淋しさとともに・・・。
 
 しかし「ソフトカー」が「バック・トゥー・ザ・フューチャー」のデロリアンになれるかも?という期待が出てきたのです。

 コンセプトは「街全体が子供の庭」。新しい住宅地からでいいんです。そこでは自家用車は市街地から離れた場所に置くんです。共同駐車場を作って。

 その駐車場にはソフトカーがいっぱいあるんです。住民でシェアするんです。

 どんなイメージになるかな。次の章で。

ソフトカーが歩く街

 朝日がまぶしい!雀の声やら犬の声やら子供達の声やら・・・目覚ましはいらないな、もう。

 道路で子供たちがもうはしゃいでいるよ。犬も元気に走り回っている。お母さんたちが玄関先でいっせいに呼んでいる「さ〜朝ご飯、学校に遅れちゃうよ〜」と。

 お父さんはそろそろ出勤、庭にはソフトカー。「いってまいります」ゆっくり2キロで歩くように走るソフトカー。

 最高速度は地域特性に合わせて可変な自動制御だ。現時点でどれくらいの最高速度に制限されているのか、一目で分かる大きなカラーインジケータが付いてるが、ネオンのようで面白い。

 タイヤまわりにはゴム製のカバーが付いているし、バンパーも周りについていて、そこに子供が立ったりもできる構造だから安心安全!

 少し進んだところで、近所のお父さん「オグさん」も出勤の時間。「お〜カワさん、私も乗せてって」とソフトカーのドアのへりにちょこんと腰掛ける。

 街もはずれになってきた。ソフトカーは6キロまでスピードアップ。おっとっと、自転車のほうが速いな。でもこちらはもう3人も乗ってるよ。

 やがてスピードは15キロから30キロへ。そして共同駐車場へ到着。ソフトカーを充電ステーションに入れて、それぞれ自家用車に乗り換える。

 時々こんな声も。「ソフトカーを電車に連結してそのまま動けると自家用車一人一台なんて必要ないんだけどね〜」

 朝を過ぎると街中は幼児とお母さんの街になる。昼間の世界は次の章。

ソフトカーが人をつなぐ

 ソフトカーはお母さんにもとても重宝。幼児が道路に出て行って、時速二キロのソフトカーにぶつかっても、転んで泣くくらい。

 買い物かごユニットを付けたソフトカーには足の弱いおばあさんがバーにつかまって一緒に歩いている。世間話をしながら。地域の交流が加速する。

 ソフトカーは子供たちが一番大好きだ。大きなペットのように思っている。子供達もいつのまにかあちこちから集まるようになってきた。

新たなビジネスが街に生まれる

 仲良しとなったヤンママたちが話し合いを始めた。「遠い保育所に送り迎えは大変だよね。ここに共同保育園あればいいんじゃない!」

 いろんな規制はあったが何とかクリアー。ついに「三丁目ゆうやけ保育園」が誕生!

 専門保育士さんのもと、近所の元気なおばあさんが応援スタッフとしてお金をもらって勤務している。折り紙遊び、お手玉遊び、野菜の栽培などなど・・・。子供もお年寄りも両方に笑顔がこぼれる。

 ヤンママ達も自分たちの都合に合わせた交代制で、食事のお世話などを有給で行っている。「へそくりで今度旅行しない?」とヤンママたちで相談中。

 なんか、年齢差数十歳で遊ぶ社会ができてきたようだ!「私たちの頃の社会顔負けだね」とばあちゃんが枝を切りながら道路で遊ぶ幼児を見守るじいちゃんに話しかける。

 やがて街の中に、たい焼き屋さんとか、家庭喫茶店とか、自家製野菜の市場とか、あれこれ地域の中で成り立つマイクロビジネスが生まれていった。

 なにせ、そんなに儲けなくていい。自分の家で好きなときに好きなことを好きなようにやればいい。茶飲み話がとても楽しい。

 だれでもできる「みんな自営の街」が、期せずして、夫が仕事に出た後のヤンママとお年寄りと幼児だけの街中で日々生まれ続けている。

 子供たちはもう!学校帰りが待ち遠しい。ガキ大将が今日の遊びを既に企画中だ。ワクワク!

子供の笑顔がソフトカーの未来だ

 小栗教授のブログで見た動画です。こんなに子供達は笑っている。イベントではなく日々の暮らしに子供達の笑顔を増やしていきたいものです。。

 難しいことはないはず。失ったものを取りもどせばいい。

 そのためには、街を道路を子供が取りもどすことが近道。そのように私は思います。ソフトカーはそのシンボルです。


参考
 石巻でソフトカーに乗る!
 頑張れチョロQ「ソフトカー」
 ガキ大将と土手で会う
 みんな自営のサラリーマン