豆腐の行商

 テレビから聞こえてるんだ、と思っていました。玄関のチャイムが鳴るまでは。休日に聞こえてきたチャルメラの音。それはリヤカーで豆腐を売る行商の方が吹いていたんです。

 「あっ!ほんとのチャルメラだったんだ・・・」玄関に現れた、少し言葉がスローで、首には大きな「がまぐちバック」をつるしたお兄ちゃんを見て実感。

 わが涌谷町の名物「おぼろ豆腐」の製造元が生産をやめるとの話をきいた別の豆腐やさんが、授産施設と共同で伝統の豆腐を継ぐことにしたらしいんです。

 おぼろ豆腐は、さじですくって食べるやわらかな豆腐で、とてもユニークでおいしいものです。

 今度の後継者は売り方がさらユニーク。冷蔵の箱を積んだ小さなリヤカーにのぼりを立て、チャルメラを吹いて、一軒一軒御用聞きスタイルで売り歩きます。3人グループで。

 おもわず「いいな!こんな商売も」「昔は結構行商あったじゃない!」と心の声が話します。

 そういえば、最近「行商」の話題が結構あります。

 たとえば、昔ながらの魚の行商(振り売り)の話とか、行商型タイヤ交換サービスの話とか。
 「自転車で鮮魚を"振り売り"」
 「出張タイヤ交換」

 私は大賛成なんです。というか行商大好き、いつかしたいとも思っているんです。家賃かからないでしょう。旅行できるでしょう。いろんな人とお付き合いできるでしょう。一番は、売れる所に行って売れるじゃないですか!

 なんでみんな店舗ばっかしにこだわるんでしょう?車もあるのにね。

 「海のものは山で売り、山のものは海で売る」
 「商いは人と人との感情のキャッチボールから」
 「商いは必要と必要の対等な価値交換」

 そんな商売の原点は「行商」にあり、と私は思うんです。