見識なき政界、見識疑わしき経済界。そんな中「サッカー界」は見識あるな〜と、ラジオ放送を聴いて感動しました。
もう旧い話になってしまいましたが、なでしこジャパンの澤 穂希(さわ ほまれ)選手が2012年1月9日、2011年度の「FIFA最優秀選手賞」を受賞しました。
先日の夜NHKラジオで、ある高名なサッカー評論家の方が、なぜ「澤」が最優秀選手に選ばれたかについて、自身も少々昂ぶりながら解説していました。
「澤は十年以上前から世界的に大変高い評価を受けていた。それを知らないのは日本人だけだった。なぜなら女子サッカーは日本で関心を持たれていなかったからだ」
「澤選手が受賞したのはワールドカップで優勝したことがきっかけだったにせよ、もともと最優秀選手賞をもらって当然と、「国際サッカー界」では評価されていたのだ」
それでは澤選手の何がそんなに評価されていたのでしょう?
・・・・・・・・
彼は続けます。
「彼女はスピード世界一ですか?彼女はパワー世界一ですか?彼女は得点力世界一ですか?みな違います。彼女よりもっと上の選手がいます」
「それにもかかわらず彼女が最優秀に選ばれた理由というのは、彼女の『インテリジェンス(知性)』なんです」
えっ?インテリジェンス?何を言ってるんだこの人は。
スポーツに知性?それはあるにしても、なぜそんなに大事とみなされるのだろう?いったい。
「インテリジェンスというのは『先見力』と『意志力』なんです」
「彼女はフォワードではなくボランチです。他の選手をアシストしながらチームの舵取りをするポジションです」
「澤はあらゆる試合で、いち早くつぎにどんな場面が来るのかを瞬時に察知し、自ら全力でそのアシストを行ってきたのです」
「それが長い距離であれ、ゴール前であれ、ポジションなど関係なく、自己の全力を使って最適の場所に向かいました」
「そんな澤を、世界のサッカー界は、ずっと前からきちんと評価していたのです」
「インテリジェンスから生じた『バランス力』、それが世界が認める澤の最高の能力です」
・・・・・・・・
実にいいですね〜。強いばっかりがいいんじゃない。得点多いばっかりがいいんじゃない。本当にいいのは「バランスがとれていること」だというんです。
しかもバランス力に不可欠なものが「インテリジェンス」だといいます。
こんな評価を下せるサッカー界。だからこんなに人気があるし、選手たちの人間性もとても高いんですね。
澤選手はチームメートにこんな言葉をかけていたそうです。
「苦しい時は私の背中を見て」
(北京オリンピック、三位決定戦であるドイツ戦に臨む直前のミーティングで)
八百長問題を繰り返す相撲界や、虚言失言居士だらけの政界も、効率奴隷の経済界も見習ってもらいたいものです。
・・・・・・・・
最近のニュースですが、長谷部選手は被災した南三陸町のある幼稚園を、たった一人の資金で高台へ再建したと報じられていました。サッカー選手はみな心が温かいです。
そういえば、岡田監督も人間的にすばらしい考えを持った人でした。以前書いたブログ「一流のスポーツマン」を思いだしました。
解説者は、澤選手のリーダーとしての能力がずば抜けているため、彼女が抜けた後のチームがどうなるかこわいと最後に語っていました。
私も思うんです。
彼女のもつ貴重な『インテリジェンス』や『バランス力』は、これからますます加速するらしい「相対的競争力重視の教育」で育まれるものだろうかと。。。