「愉快な町」シリーズは6回目をむかえます。今日は町を支える縁の下の力持ち「地域コンビニ」の話です。人の幸せを育む「愉快な町」がなぜ持続できるのか?その秘密が明らかになります。
初めての方はこちらからお読みください。
愉快な町の「住宅街」
愉快な町のショップハウス
愉快な町のヘルプハウス
愉快な町 その2
愉快な町 その1
<ドーナツの外周にある>
「地域コンビニ」はどこにある?
愉快な町はドーナッツのような町。
町の真ん中にある(人工的に造った)「里山」、その周りにある「畑」、そこを囲んで「みんなの場所」そしてみんなの「住宅街」と輪はひろがり、最外周部にあるのが「共同駐車場」と「地域コンビニ」です。
<地域コンビニは町の中枢>
長〜い一言で言うと、「コンビニ」+「生協」+「道の駅」+「公民館」+「役場」+「シルバー人材センター」+「警備会社」
「地域コンビニ」はコンビニ本部と住民(それもこの町以外の人をも含めた)で構成するユニークな超多機能管理センターです。
ですから、「コンビニ」と名が付いても商品の売り買いだけを行う施設ではないんです。
町の維持管理や住民の様々な関係調整の仕事も行っているのです。
しかも、愉快な町の雇用を大いに担っています。お年寄りや奥さまたち、あるいは子ども達も含めて、今まで労働力として軽視されてきた方々がメインの労働力なんです。
<朝のコンビニ>
それでは具体的にどんな仕事をしているかと言えば・・・
朝5時、多機能「地域コンビニ」の店が開きます。
店以外は24時間、その他の機能を維持するため、交代で担当の方が常駐しています。
朝6時半、町の人はもちろん、周辺市町村の畑作をしている人たちが、無農薬野菜や自然卵なんかを売り場に持ってきます。
朝7時ころからお父さんたちの会社出勤が始まります。地域コンビニに隣接した共同駐車場から多くの車が出発します。
でも住宅街から駐車場までは、自動速度規制がされる街中自動車「ソフトカー」で移動です。相乗りして来る人もいますし、歩行者と会話をしながらゆっくり走るソフトカーもありますね。
駐車場にソフトカーがたまったら、「コンビニシルバーズ」の出番です。街中へソフトカーを戻していきます。連結運転で。
そのまま、住民への配達やら安否確認サービスやらを行うシルバーズもいます。
朝9時、町はお年寄りとご婦人たちと子どもが中心の場所になります。
<昼間のコンビニ>
昼間はどんなことをしているでしょう。
地域コンビニには、この町の住民がマイクロタイマーとして多数様々なしごとに従事しています。もちろん有給で。
一人1時間労働から長くても4時間労働くらいです。メンバーで自由に時間調整してよいきまりです。
ですから、みんな仲良くしていないとうまく機能しない。これがミソなんですね!
マイクロタイマーは「里山の清掃」「商品陳列、販売」「商品注文取り、配達」「みんなの場所の清掃」「施設メンテ」とか、「入居者調整」とか「行事の企画運営」とかさまざま・・・
え、それって公共(政治)が行うものでしょう?
いや、それを住民で行うことが「愉快な町」の特長なんです。それも無理なく、たえず創意工夫をしながら。自分たちで。
昼は、街中はソフトカーもあまり走らないし、子どもの天国です。こんな広いエリアで遊べる子どもがうらやましいと思う人は、周りの町にとても多くなりました。
安全についてはどうなの?と心配ですよね。
これが、元気なお年寄り「コンビニシルバーズ」が町をしょっちゅう見回ります。これも有給の仕事なんです。
それに晴れた日は、道路にあずまやがいっぱい出るんです。そこでお年寄りや奥様たちが和風カフェみたいにして団らんしています。
子どもを皆で見てあげる。そして一緒に楽しんでいる。昔の良き光景が復活しています。
畑作している人たちも同じように見守っています。
おもしろいのは、「子ども通貨」があることです。
子どもにアルバイトを積極的にさせます。畑の水やりやら配達ご用聞きやら・・・
それを「子ども通貨」で支払うんです。
その通貨はある時は「図書券」だったり「旅行券」だったり、「コンビ二券」だったりします。
<夕方のコンビニ>
夕方は奥さんたちの買い物で大忙し。
なにせ、「愉快な町」ブランドのユニーク商品も多いので、周辺市町村からもたくさんの人がやって来ます。
学校帰りの子ども達が地場物産コーナーで「いらっしゃい!いらっしゃい!」とアルバイトです。
おや?こちらのコーナーでは、自分たちが育てている鶏の卵を売っていますよ。
18時頃から共同駐車場に、会社帰りのお父さんたちの自家用車が戻ってきます。
駐車場から自宅までは、やはりスマートカーです。もちろん徒歩の人もたくさんいます。
だけど雨の日や、荷物のある日はやっぱりスマートカーじゃないとね。
<コンビニ「よろず相談コーナー」>
コンビニにある「よろず相談コーナー」にだれか住民が来ていますよ。
なになに?少し話を聞いてみましょう。
「失業しちゃいまして。。。家のローンが大変。それと職が見つからなくて。。。」
「そうですか、でも大丈夫ですよ。当座こんなプランどうでしょう? まず持ち家はシェアハウスとして地域コンビニに貸してください。その貸賃でローンを払ってください。」
「え、それじゃ私はどこに住みますか?」
「住居ゾーンにあるシェアハウスの一室または数室に移るか、同じ地域にあるトレーラーハウスに移ってはどうでしょう。空きがないときはヘルプハウスもあります」
「いつまでもですか?」
「いえいえ、もし以前のような収入の仕事が見つかれば半年後に戻しましょう。シェアハウスはこの町中でかなり流動的に運用しますのでなんとかなりますよ。なにせこの町の住民になりたい人も全国におおぜいいますから」
「私の日々の仕事はどうなりますか?」
「しばらくの間、数種類のマイクロタイマーをかけ持ちしてはどうですか?」
「私にできますか?」
「できますよ。というより愉しいですよ。なぜって生活そのものような仕事が多いからです。たとえば里山から薪ストーブ用の枝集め、畑の手伝い。ショップハウスの店員、コンビニの施設維持業務手伝い・・・」
「でも、既にやっている人がいるんじゃないですか?」
「そこがこの町のおもしろいところでして、実はマイクロタイマーさんは必ず働かなくてもいい方が多いんです。ですから必要度が高い住民には優先で譲ってもらったり、ワークシェアリングしたりするんです。それを了解しているからこの町に住んでいるわけですね」
「あ〜そうでした。やはり当事者になるとあせってしまい忘れていましたよ!それと食べる、寝るについても皆でバックアップしあうシステムでしたね。ありがたや、ありがたや。愉快!」
「この町の住民は自然発生的な集まりではなく、「同じ意志を持った人々」が「それぞれの助け合い」に合意して集まり暮らしている町だからこんなことができるんですよね。相談にのってる私たちも、同じ立場でお互い様なんですよ」
<こうしてスタートした>
このような地域コンビニはいかにして発足できたのでしょうか?
それは、まず計画的にスタートしました。
店にしても、店を作ってから売るのではありません。作る前に会員を集め、個々の取引契約をすませ、多様なサービスを行い、その労働を地元町民でになうシステムなのです。
会員だって必要な人数を近隣から、あるいはネットから集めるので数に不足することはありません。何せユニークなしくみなので、町以外の人にもとても魅力的で重宝な店なのです。
最初から必要利益を確保できるようにしてからスタートするというのが「愉快な町」の方針です。
<無理のない小さな収益>
それと町では売電もします。ケアハウスの入居者を近隣から集めます。それに町自体も自営店が栄え、魅力が増えて多くの客が訪れます。共同農園では面白い作物を出荷します。山では月1−2回面白い企画をします。
つまり、必要なお金は「町自体で無理なく細かい仕事で生み出していく」ことができるのです。
「ヘルプハウス」ぐらいの運営なんかなんともありません。寄付とか助成金も少しはあるでしょう。「つどいホール」なんかも、その中でマイクロビジネスを企画すれば収益が出せます。
それと町民の会費、これの名前は「愉快の会費」です。これは月1万円です。50戸の所帯なら月50万円の収益があります。これだけ負担しても、得するしくみがあるので、だれでも納得です。
さて、今日はここまでです。次回は「愉快な町」のユニークなエネルギーシステムについてレポートします。
(「愉快な町」)
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