土手道で原発を考える

 真夏の昼は炎天で大変。でも夕方は涼しい風が吹き渡り「夏っていいな〜」と思います。土日の夕方は土手道を自転車で走ります。8キロ離れた実家に住む父と夕食を一緒にするので。ひぐらしの声が耳に心地よい昨夕でした。

 私が走る土手道です。たまに犬の散歩に来る人と出会いますが、ほとんどマイ・ロードです。

 いろんな小鳥や虫やミミズなんかを見ます。鳥の声、セミの声も合唱です。

 毎回、同じ場所で野性の狐?も見ます。

 先週は、土手道の下の道路で数頭の牛が小屋を抜け出し、道路を歩いていました。

 そこに自動車が来て、びっくりした牛は急に走り出し、まるで闘牛のような状況になりました。

 こちらに駆け上がってくるのでは!と一瞬怖い思いをしました。

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 子供の頃に遊んだ江合川を見ながら走っていると、本当に心が癒されていきます。

 でも、走りながらつい「原発」のことを考えてしまいます。

 「こんな自然がもし汚されてしまうならなんと悲しいことだろう。。。」

 「原発の効率性だけを語る人は、自分たちがこのような自然に育まれたことを思い出さないのだろうか?」

 「どうして人は自然を忘れ、傲慢になってしまったのだろう。。。」

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 さて、時間は少しさかのぼって昨日の朝、私にとってひとつ飛躍がありました。

 洗濯物を干していたら、宣伝カーのスピーカーからこんなメッセージが呼びかけられていました。

 「本日午後二時より涌谷町『くがね創庫』で『女川原発再稼働反対』の集会があります・・・」

 私は政治集会など特になんですが、「集会」というものが大嫌いで、ほとんど出たことはありません。

 特定政党とか特定宗教なんかも、とても苦手です。

 しかし、昨日だけは「行かなければ!」と思い、行ってきました。

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 会場には150人くらいいました。

 涌谷町のお坊さんが発起人です。

 事務局は元高校の先生。

 そして講演は、いちはやく隣町で「女川原発再稼働反対」の集まりを立ち上げた、79歳の元町長。

 涌谷町に住む元大学教授。涌谷町で独自の稲作で全国的な話題を集めている篤農家(熱心で、研究心に富んだ農業家)。

 お話を聞いてて、ほんとうに身につまされました。。。

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 印象的だった言葉を少し書き残しておきます。

 篤農家の方は女川に親戚があって、その息子三人(いとこ)は女川以外に住んでいるんだそうです。

 彼ら曰く「ぜったいに女川には帰らない。。。」

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 質疑応答で話した初老の男性参加者。

 「私は無知でした。昨春里帰りした孫に、私が栽培しているイチゴを食べさせてしまったんです。ところがあとで放射能を調べたら、敷地にホットスポットがたくさん見つかりました。なんということをしてしまったのか!!」と声を震わせていました。

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 やはり質疑応答で話した元高校教師。とても勇気のある方で、このような方も身近にいるんだと感動しました。

 「私は、仙台の一番町で手刷りのプリントを渡しながら、たった一人で女川原発再稼働反対の活動をしています。ところがほとんど無関心で、一日いても7,8人くらいしか聞いてくれないというのが現実なんです」

 「女川原発の入り口に一人で線量を測りに行ったこともあります。警備員にあれこれ邪魔されましたが、そこの線量はとても高く、警備員にあんたたちあぶないよ、と話してあげました。東北電力の社長に直訴しようと思っています」

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 元大学教授の言葉。

 「原発の発電量は25%〜30%というが、発電力ではない。原発のために火力の40%、水力の60%が休んでいたのです」

 「科学が発達した思っているかもしれないが、私たちは噴火も、台風も、地震も何もコントロールできていないんですよ」

 「自然の原理や摂理を研究し、自然と調和して生きる術を知るのが科学です」

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 元町長の言葉。

 「原発の危険性を話してもわかってくれない人が多いとよくこぼされます。そんなときにはこうしなさいと私は言います。『女性に話しなさい、男は理屈だけでさっぱりだめだから』と」

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 女川の人たちの名誉のためにこんな記事も載せておきます。
 
 女川原発再稼働に女川住民の4分の1が反対という新聞記事です。
 

 それに、元町長も話していました。「女川原発計画の頃は多くの女川町民が反対したんだが、結局金やなんやらで取り込まれてしまった。。。」

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 私としては、「反原発ブロガー」から「女川原発再稼働反対メンバー」への意義ある進化の一日となりました。

 女川30キロ圏内に住む私にとって「他人事」ではないんです。

参考
 3.11女川原発の「もしも?」