じじ孫洞窟探検隊

 お盆休みの「孫だまし」は近場の洞窟探検でした。近場というより町内です。涌谷町にはたして洞窟はあったのでしょうか?
 五歳の孫はもう「腕白やろっ子」です。お相手二日目ともなると、さすがにわが肉体はしんどくなりますが、精神的にはとても愉しい!

 さて、どこで興味を持ったのか、孫は「洞窟」にエラク興味を持ち始めました。

 「そこに恐竜はいるの?」

 「夏でも寒いの?」

 「どれだけ大きいの?」

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 私は小さい頃読んだクラシックSFのうんちくを傾け、孫に聞かせたあげました。

 「チャレンジャー教授とその一行は洞窟探検をしたんだ」

 「洞窟のずっと奥深くに入って行ったら、そこには大きな湖があり、みんなその底に沈んでしまった!!!。。。」

 「ところが目が覚めると、なんとそこには太古の恐竜の世界があったんじゃ!」

 「やっとこさ元の世界に戻ってきたチャレンジャー教授の話を、誰も信じてはくれなかった。。。」

 「ところが。。。ブーイングする皆の前で、彼はポケットから一個の卵をとりだしたんじゃ」

 「その卵はすぐに殻が割れ、雛が出てきた。それはなんと!恐竜の赤んぼうだった」

 後で調べてみると、ベルヌの「地底探検」とドイルの「失われた世界」が混じり合っていました。

 さらに「この本を書いたのはウェルズという人なんだ」と、これまた大間違い。。。

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 そんなこんなで孫は私にせがみます。

 「じいちゃん、洞窟に連れてって!」

 わが町から一番近い洞窟は栗駒山のふもとにある「細倉マインパーク」。車で二時間近くかかります。

 (だめだ、こんな暑い日は近場じゃないと。。。なんとかせねば)

 「よし、それじゃあるかないかわからないけど一緒にこの町の洞窟を探してみよう!」

 (やれやれ。。。あてもないのに)

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 車は冷房ガンガンですからちょうどよし。

 まずは一キロ離れた里山へ。もちろんそこに洞窟はありませんが、あるかもしれないと言って、実はトンボ捕りとかして気をそらせます。

 しかし孫はあきらめない。

 それじゃ次と、さらに一キロ離れた霊山、ののだけ山「崑峯寺(こんぽうじ)」へ。

 樹齢900年の杉が幾本もある夏でもヒンヤリした古刹。


(900年も仲良し!崑峯寺の『夫婦杉』)

 ここでも洞窟を探すふり。。。(あるわきゃないよ。。)

 孫はまだあきらめない。

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 もうやけのやんぱち。お守り売っているおばさんに、だめもとで聞いてみました。

 「あの〜、このへんに洞窟はないでしょうか?」

 まさかと思いましたが、この返事。
 
 「ありますよ。この山の入り口を右に曲がってしばらく行くと、『追戸古墳』という横穴があります。私たちが小さい頃は中に入れたもんですが。。。今はどうでしょうか」

 やった〜!!

 まさか、わが町に洞窟があろうとは!

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 炎天下、冷房した車の中で女房に抱かれて昼寝していた二歳の孫娘も一緒にみなで向かいました。

 30分後みつけました。ありました。奥行き3メートルくらいの横穴古墳が。。。


(涌谷町にある『追戸古墳群』)

 入ってはだめという標識やポールがありましたが、だ〜れもいません。

 いるのは、ジージーと天ぷら揚げているようなセミの声ばかり。

 すみませんが、孫と一緒に入ってみました。

 小さい横穴だけど、洞窟といえないこともない。

 「嘘から出た真」、偶然にも孫との約束を果たしたことになりました。

 孫にはこう言いました。

 「今日はとっても小さい洞窟だったけど、次はお父さんに大きな洞窟に連れて行ったもらいなさい。岩手県の『龍泉洞』なんか何キロもあるんだから!」

 「そこに恐竜いるの?」と聞かれたので、「行ってからのお楽しみ!」と答えて夏休みの「じじ孫洞窟探検隊」は完了しました。

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 ここで大人向けに余計なお話をもうひとつ。

 お盆中の新聞に載っていたカン・サンジュンさんのお話です。

朝日新聞 2012.8.13
無駄なことしてみよう

 ・・・残念なことに今の学校での学びは、役に立つことと立たないことの間に線を引き「役に立つことに時間を費やしなさい」と、勧めています。成績優秀な子どもほど、小さい頃から親にもそう言われます。無駄に手を出さない。無駄な人と付き合わない。無駄な本を読まない・・・。そうやって小さい頃からトレーニングされているのです。しかし、そんな学び方は、そろそろ限界にきていると考えます。

 ほんと、このとおりですよね。

 孫に「じいちゃんは無駄!」って言わせないように教育しておかないとね。