デジタルな遺伝子

 人間はアナログ、コンピューターはデジタル。多くの人がそんなイメージをもっています。ところがDNAを調べてみれば、人間もデジタルなんですよね。
 先日『プロメテウス』という映画を観てきました。

 オープニングには、人類の遺伝子構造である『二重らせん』の三次元映像が。。。

 同じ頃、本棚からふと取り出して読んでいたのが『新しい高校生物の教科書』でした。

 さまざまな新発見のせいか、それともこの本の特徴なのか、私たちが高校の頃に使っていた教科書よりずいぶん詳しい内容になってるな〜と感じました。

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 本の合間に挿入されている「コラム」にこんなのがありました。

DNAの4種類の塩基は暗号ではない?

 生命情報(遺伝子)の本体が不明だった20世紀前半までは、それは非常に複雑な物質に複雑な「暗号」で記されているだろうとの考え方が有力だった。

 それがDNAの中に、たった4種類の塩基で記されているとわかったとき、当時の研究者たちはみな、仰天したという。

 筆者もこのことを初めて知ったときの衝撃をいまも忘れることができない。

 ところで、人類はたった2つの記号で情報を記録したり、すばやく処理する機械をつくっている。コンピューターだ。

 記号が2種類なら2桁で4、3桁で8、4桁で16通りのことを区別して記すことができる。

 DNAの場合、記号が4種類だから2桁で16、3桁で64通りもの情報を区別できるから、冷静に考えれば情報が4つの記号で記されていることは驚くようなことでも何でもない。

 第一、読めてしまえばもはや暗号ではない。

 四つの塩基とは、アデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)。

 この四つの組み合わせだけですべての遺伝情報が伝えられているわけです。

 ヒトゲノムプロジェクトによると、「生物学的な情報を含んでいる遺伝子」の数は約2万2千個だそうですが、これはDNAの一部領域であり、今後の研究の進展によって、その数はまだ変動の可能性ありだそうです。

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 アナログの代表みたいに思っていた「生命の継承」が、コンピュータと同じデジタル構造であるとは実に面白いものです。

 ヒトは、デジタル原理を内蔵していたから、デジタル計算機を発明・進化させられたのかもしれません。

 しかも、コンピューターの基本素子は2値なのに人間は4値とわかれば、なんか自信も回復しそうです。

 しかし正確に言うなら、デジタルとアナログの「ハイブリッド(混種)」がヒトというか「生命体」なんでしょうね。

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 全く異種の存在とみなされている有機体と無機体、つまり「生き物」と「鉱物」。これらをつなぐ接点が「デジタル構造」にあった。

 かたや「タンパク質」かたや「シリコン」ですからね。

 なんかSFでも書けそうな視点です。

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 人間が発見したり、産みだしたものは、もともと人間に内包されていたものかもしれません。数学であろうとも。アートであろうとも。

 →毛細血管の話

 人間が子を産むことが出来るように、無生物のコンピューターも子を産んでいけるようです。コンピュータの概念を構築したノイマンが初めから証明していました。

 →電脳将棋王にショック!

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 好奇心と欲望だけで暴走する人類。

 そしてたった七十年前に、「原子力」という「プロメテウスの火」を手に入れてしまった人類。

 恐竜の時代も隕石の落下による寒冷化で終わったと言われています。
 
 人類の社会もいつかきっと終わることがあるのでしょう。

 その原因が、放射能なのか、化学物質なのか、病原菌なのか、宇宙人なのか、天変地異なのか、わかりませんが。

 そんな長い尺度で考えたら、今起きていることも避けられない必然や運命によるものかもしれない。。。

 時々そんな諦観に陥りながら、今行うべきことは何だろう?と考えてしまいます。。。