もう一つのリーダーシップ

 強いリーダーシップの他にもう一つ、「縁の下リーダーシップ」もあると思うんです。
 「私引っ張る人、あなた従う人」みたいな社会とか会社はもう限界ではないでしょうか。

 「船頭多くして船山を登る」といいますが、みんなが船頭ならそんなことはないはずです。

 そもそも人は自分の船をもつべきで、行き先は船頭任せというのはおかしいと私は思うんです。

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 ですから、これからのリーダーシップは「一人ひとりをいかによき船頭に育てるか」というところにあると思うんです。

 真のトップダウンとは、「縁の下リーダーシップを発揮して、ボトムアップのしくみを創りあげること」ではないでしょうか。

 そもそも自立していない社員を望む経営者などいるわけはありません。

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 『のぼうの城』という映画をこの前観てきたんですが、とても考えさせられました。

 へなちょこで「でくのぼう」城主の城が、自軍をはるかにしのぐ大軍と闘って(戦ったのではなく)持ちこたえ、結局敗れはしたが最後はイーブンに近い交渉にまで持って行ったという話です。

  →「戦う」と「闘う」

 実話らしいです。

 なにゆえに奮闘できたかといえば、領地の農民がでくのぼう城主の人柄が大好きで、その気持ちとわが手塩にかけた農地を守るという意識で一致団結しゲリラ戦を展開したからです。

 つまり、武勇の誉れ高き強き(強そうな)武将の「トップダウン」よりも、か弱きながらも自立心あふれる農民の「ボトムアップ」が優った、というお話です

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 どうしてこんなことを考えるのかと言えば、間もなく実施される衆議院選挙がそのきっかけです。

 どうして人は強そうな(に見せる)政治家ばっかりあてにするのでしょう。

 自分の会社や町なら、超ワンマンな社長や町長をほしいと思う社員や町民はいるのでしょうか?

 一人ひとりの自立心あふれるまともな会社の社員や町の住民なら、とても迷惑なことと思うのではないでしょうか。

 「あなたの勝手にされちゃ困る。なぜなら私たちの会社、私たちの町なんだから!」

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 facebookでこのような投稿を読みました。私も同感です。

  →全文はこちら

 ・・・つまり、国民に精神的自立をさせず、姿も形もない「国」なんてものに頼らせる・依存させることによって体制を維持しようとしてきたのが日本の近代史なわけであるから、本当に求められている未来はひとりひとりの国民が主体的に動き、誇りと自信をもてるような、寛容とプラス思考、「育てる」社会なのである。・・・日本人は、ずっと自立していないのだ。

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 これからのリーダーシップは、『縁の下の力持ち』リーダーシップのほうが大事と思うんです。

 教師のように「人を育て、人の自立を支援するリーダーシップ」です。

 花を社員や住民に持たせるリーダーシップです。

 そのリーダーは、決して強そうなかっこうはしていないはずです。

 そのリーダーは「現実だけを語る現実家」ではなく「未来への理想をもった現実家」であるはずです。

 その未来への理想の原点は「政治」という力学にではなく、「人間」についての深い関心と愛情に基づいているはずです。

 強さより、しなやかさを持ったリーダこそが、私たち一人ひとりが育つことにつながります。 

 そういう人を見極め、選べる社会をめざしたいものだと私は思っています。

参考
 感動!ロラン島の風力発電