もうすぐ芽吹く自然エネ

 もうすぐ春、草花の芽が土の下でスタンバイです。原発回帰という寒気に負けず、自然エネルギーもまもなく芽吹こうとしています。
 寒気にさらされたほうれん草は、凍らないように自ら甘みを増していくそうです。

 植物も動物も逆境の中で「たくましさ」を身につけていきます。

 普及が思うように進まない「自然エネルギー」も同じです。

 大いに期待されながらも「原発」に押され気味なのは、たくましさが少し足りないからでしょう。

 しかし逆境の中にある今、自然エネルギーは様々な工夫や改善を繰り返し、たくましさを増しつつあるようです。

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 そう遠くない未来に「自然エネルギー」は「原発という怪獣」を倒すはず、と私は確信しています。

 IT界の超巨人たちが驚くべき発想で「自然エネルギー革命」をはじめているからです。


(燃料代が一生0円の電気自動車を提供するというテスラ)

  →自然エネ革命の夜明け

 私たちにより身近な世界でも様々な変革が進行しています。

 草の根のように地味で見えにくく、とても静かにではありますが、たゆむことなく進化を続けています。

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画期的な「小水力発電機」

 私の地元である大崎市の会社が画期的な「小水力発電機」を開発したことを知りました。

  →東北放送ニュースで紹介

 たった35センチ四方の大きさで、なんと!1kw(10A)も出力できるそうです。

 どうしてこんなに小さくできるのかといえば、羽根と発電部が「磁気」による「非接触構造」であるためのようです。

 わが家は契約アンペア数が30Aなので、この機械3台あれば最大電力使用時に耐えることができるわけです。

 バッテリーと併用すれば、この発電機一台で十分のようです。

 というのは、一家庭一ヶ月平均電力量は300kwhだそうですから、24時間運転だとこれ1台約13日稼働で一家庭一ヶ月分、30日なら二家庭分の電力が自給自足できる計算になります。

 しかし水を羽根に落とす落差が10メートル必要らしいので、個人住宅ではちょっと無理。

 マンションや工場などで貯水タンクを利用した使用法を考えているようです。

 ただし4メートルの落差でも6A発電できるようですし、また映像を見ると垂直ではなく斜めに水を流しているようなので何か家庭用に工夫ができそうです。

 私は発電機がこれほど超小型になったということだけでも、近い将来大きな可能性があるように思います。

 しかも量産すれば一台たった3万円くらいで製作できそうというのですから、コストパフォーマンスこそ最も画期的なことです。

 垂直落差だけではなく水平な川の流れも利用できれば、もっと用途は拡がることでしょう。

  参考:水流型小水力発電機カッパ(こちらは0.16kwと出力が小さく価格も高い)

 もし、近くに適当な落差の水流があれば共同でこの発電機を置いてもおもしろそうです。

 直接家庭に電線をつなげなくても、そこで充電したバッテリーを交換すればプロパンガスボンベのような使い方もできます。

 先ほどの計算なら、これ一台でまるまる二軒分の電気が自給自足できるわけですし、電気料がただになるならやりたいと思う人はたくさんいるはずです。

  →開発元プロスパインによる製品紹介

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超低価格「ソーラーパネル」

 もうひとつ太陽電池のお話しです。

 太陽光発電パネルって高いもの、という意識が私にはありました。

 「ソーラーやりたくても数百万円もかかったり、十数年もローン組んだりはちょっとね。。。」

 ところが世の中、いったん動き始めるとあっという間に低価格商品がつぎつぎと出てきます。

 ちなみに私もamazonで探してみたら、数万円クラスのパネルやバッテリーセットがいっぱいあってびっくりしました。

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 朝日新聞には二人のエネルギー冒険者がいます。

 無電気生活を続けている女性記者と5アンペア生活を続けている男性記者です。

 このうち男性記者の最近の動向が新聞紙上で記事になりました。

朝日新聞 2014.3.7

「5アンペア記者続けてます」より

■自作の太陽発電

 切り詰め、絞り続けた生活はおしまいにしたい。自然の力で電気をつくる第一歩も踏み出した。

 自家発電というと、数百万円かけて屋根一面に太陽光パネルをつける大規模な設備を連想する。貸家暮らしの転勤族にはハードルが高すぎる。

 何ができるのか。インターネットで「ソーラーパネル 自作」と検索すると、多くの発電キットが販売されていた。50ワットのセットを選んだ。

 1日3時間日が当たるとして、発電量は150ワット時。50ワットの液晶テレビならば1日3時間、視聴できる。最近の我が家の電気使用量なら、計算上はこのパネルでまかなえる。

 電気を蓄えるバッテリー込みで価格は3万5千円ほどだった。組み立てはやや難しかったが、ホームセンターの店員さんに必要な工具や作業を教えてもらった。

 昨年12月29日、小さな太陽光発電所が完成した。「健康第一電力」(健電)と名付けた。

 大判カレンダーほどのパネルは持ち運びできる。いずれベランダに設置予定だが、配線などの問題があり、とりあえず日の当たる2階の部屋に置いた。

 太陽の光に向けると、発電を知らせる赤い電気がピカッと光った。

 発電した電気は蓄電池にためる。さらに「インバーター」を蓄電池に接続することで、コンセントと同じように家電が使えるようになる。

 携帯電話の充電OK。パソコンもしっかり使える。0・3アンペアの扇風機も動いた。だが最大4アンペアを使う洗濯機はインバーターの容量不足で、動かなかった。
 

 屋内へ配線を通す穴を開けるのがちょっと面倒そうですが、テレビやパソコンはバッテリーに蓄電した分だけ使う、なんて使い方ができそうですね。

 太陽光だけですべてを賄うのは、コスト的にまだ難しいとは思います。

 しかし、一部の用途に既存の電気と組み合わせて使うということはしやすくなってきたように思えます。

 今に太陽熱温水+太陽光発電ユニットとか、直流でそのまま使える家電とか、あっというまに様々出てくることでしょう。

 何よりも電気の「自給自足」あるいは「自給半足」は、生き物としてのまっとうな「感覚」(資源意識)を甦らせてくれそうです。

  →電気売りのおばちゃん

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「市民発電所」をネットワーク化

 地産地消の自然エネルギーをネットワーク化していこうという動きも始まったようです。

朝日新聞 2014.3.13

自然エネ発電、市民ネット次々 電力会社や国対策で知識と経験を共有

 東京電力福島第一原発事故をきっかけに、全国で急増した「市民発電所」をネットワーク化する動きが広がっている。事業化には資金調達や技術などの面で課題があり、情報の共有によって自然エネルギー普及を加速させるのが狙いだ。

 東日本大震災から3年の11日、「全国ご当地エネルギー協会」(仮称)の発起人総会が東京都内で開かれ、事務局を務める環境エネルギー政策研究所(ISEP)の飯田哲也所長が呼びかけた。発起人には、全国で太陽光や風力、小水力などの発電に取り組む約40団体が名を連ね、6月までの法人化を目指す。

 太陽光や風力は天候に左右されて発電が安定しないことなどから、送電線を持つ電力会社が接続を認めたがらず市民発電所側とトラブルになるケースがある。発電所を設ける際、国の許認可を得る手続きも煩雑だ。こうした様々な課題について、知識と経験を共有するという。

 「地元所有の発電によって地域でお金をまわすと、外部資本に比べて2〜4倍の経済効果があるという研究結果が出ている」と飯田所長は言う。多くの団体に参加を呼びかけ、電力会社による電気事業連合会に代わる「みんなの電事連」にするのが目標だ。

 2月下旬には、首都圏中心に活動する約50団体が参加する「市民電力連絡会」(竹村英明会長)が発足。関西中心の約30団体が参加する「市民・地域共同発電所全国連絡会」も1月にできた。複数のネットワークに重複して参加する団体も多い。

 市民発電所は全国で100カ所以上(計画中含む)あるが、発電の設備容量は関係者の推計で計約10万キロワットにとどまっているとみられる。ドイツやデンマークでは、市民発電所が自然エネルギーによる発電の半分以上を占めており、普及のカギと見られている。

  →感動!ロラン島の風力発電

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 「お天道さまと何とかはついてまわる」とよく言われます。

 自然エネ革命は、まさにそのとおりのことをしようとしてるのではないでしょうか。

 地球上の(原子力以外の)すべてのエネルギーはもともと太陽エネルギーに由来し、それは空気や水と同じように万人に「ただ」であるべきはず。

 ですから、その当たり前に限りなく近づく(戻る?)「自然エネ革命」は合理的で、バックしようがないと思えるのです。

 自然エネルギーの機器も廃棄物にはなります。

 それは他のどんな機械だって廃棄物になっていくのと同じです。決して0にはなりません。

 しかし減らしていく工夫は大いにできることでしょう。

 原発の致命的な廃棄物とはそもそも全く異なり、比較することはできないものです。

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これから私たちが挑戦すべきこと
 
 最後に飯田哲也さんのこの言葉を私自身励みにして、まもなく来るであろう「自然エネルギーの春」を希望をもって待ちたいと思います。

飯田哲也さんのFBより

3.11 あの日から3年目の今日、思うこと。

1.日本人が成し遂げたこと、分かったこと

 ・原発稼働ゼロ
 ・脱原発は圧倒的多数の国民が支持する常識
 ・脱原発は「右左イデオロギー」を超えた
 ・「経済的には脱原発」も経済学者の常識となった
 ・原発がなくても電気は足りることも国民の常識
 ・固定価格買い取り制度の成立と導入、日本中への広がり
 ・この国の中枢は「無能で無責任者の集まり」であることが広く国内外で共有されたこと

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2.立ちはだかる課題や壁、「黒い雲」

 ・福島原発事故の収束が見えないこと
 ・原発被災者の生活再建
 ・東京電力へのとめどない国費・電気料金の投入
 ・放射線被ばくに関する客観的な調査・データの蓄積と公開、公平・公正な議論の場
 ・「黒い雲」〜自民党・国家官僚・電事連・経団連・マスメディア・原子力ムラ学者などによる執拗なプロパガンダと言論抑圧的な圧力

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3.これから私たちが挑戦すべきこと

 ・「抵抗型運動」から「創造型活動」への転換
 ・「自分が正しい」を競う分裂型運動から、お互いを尊重しオープンでしなやかで多様なネットワーキングへ
 ・政治という「古い土俵」を変えることも重要だが、「新しい現実」を創ってしまうことの方が早い
 ・「分散ネットワーク型社会への歴史的大転換」という大局観を共有すること
 ・それを具体的なかたちにしてゆく、リアルな創造的実践を積み重ねること
 ・今日一日一日、ベストを尽くす。

皆さんからも追加があれば、ぜひご教授・ご提案ください。

 願わくば、時代の大転換が「災害」ではなく「知性」によって為されむことを。。。

参考
 内田樹さんの電気無料インフラ論→パソコンと脱原発]