わたしは目撃者

 25年前の話ですが、わが町の冬道で「集団的ジエイ権」みたいなものを体験しました。個人的な体験もお国のことも似たとこあるんじゃない?

ノボ村長の世相天気図

富国と強兵の矢

 驚いちゃうな〜。

 国民か、お国か、もうどっちが主人公なのかわかりませ〜ん。

 経済再生「富国」の矢は三本らしいけど、その後「強兵」のもっと太い矢が(勝手に)次々何本も放たれるんだもの。

 今度は「集団的自衛権」のぶっとい矢を飛ばしたよ!

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 それでも大きな反対運動がないのは、みんな中国や韓国に辟易してるからだろうね。

 だから誰でも(近隣の)「お国」対「お国」の対決図式をイメージしてると思う。

 それは私だってわからないわけでもない。

 でも本当は「国民(個人)」対「お国(国家体制)」の主役争いなんだと思う。

 右に曲がりっぱなし走っていると、いつか来た道に戻っていく。

 そこをよ〜く考えないと、放った矢がこっちに戻ってきて危ないよ。

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自転車転倒で思い出す

 十日ほど前の夕方、わがやのそばにある牛小屋の前で、自転車に乗ってて転びました。

 ひざっこぞうをすりむいただけなんだけど、けっこう痛いし今でも治ってない。

 最近ふと、ここの牛小屋の主人との「ある事件」のことを思い出したんだ。

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 それは25年前のこと。

 その年の冬、新築したばかりのわがやで友人三人と忘年会をし、みんな泊まっていった。

 翌朝、私はみんなを送るために軽自動車を運転していた。

 道路はアイスバーン。

 牛小屋の前を通り過ぎ、本道へさしかかった。

 そのときスリップして本道に車が少しはみ出してしまった。

 100メートルくらい先から軽トラが走ってきたので、あぶないからそのまま止まっていた。

 そうしたら、なんと軽トラはそのまま走ってきて私の車のフロントフェンダーにぶつかった!

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わたしは目撃者

 運転していたのは中年の元気のいい農家のおばちゃん。

 ひるむことなく騒ぎはじめた。

 「なんで道路に止めっぱなしにしてんの!どうしてくれんの!」

 こっちはスリップがきつく安全のため止まっていたのだが、逆ギレされてしまい、こっちも逆逆ギレしてしまった。

 「何言ってんのさ、あんだ!もし子どもがここに転んでいてもぶつかってくるつもりか?」

 私は若かったし、血気盛んだったし、しかも友人が三人も乗っていたので大いに怒った。

 おばちゃんはたった一人だが(今思えば)たいしたもんだ、決して後に下がらない。

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 膠着状態になりかけていたとき、突然ある小柄な中年男が現れてこう言った。

 「俺、ちゃんとみな見ていたから。こっち(私たち)の車が急に飛び出したんだから。俺があんた(おばちゃん)の証人になっから

 もちろん事実は違うし、彼は見てさえいなかったのだ。

 その中年男はおばちゃんと知り合いのようだった。

 そして彼こそが、先日私が自転車で転んだ牛小屋の主人だったのだ。

 そのとき彼は、私たちが通りすがりの「よそ者」だと思って、(同盟国のような)おばちゃんに無条件に助っ人したようだ。

 私が引っ越ししてきたばかりだから、すぐ近所に住む者だとは思いもしなかったようだ。

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 あまりのひどさに、友人たちも車から降り、それなら警察を呼ぼうかということになった。

 結局どちらも急いでいたし、互いの車もオンボロでたいした傷でもなかったので、引き分け解散となった。

 元気のいいおばちゃんの方よりも、後から助太刀に来た中年オヤジの方に、みんな頭にきていたようだ。

 もちろん私だって。

 その事件があってから25年、たまに顔を合わせることがあっても、いまだにお互い知らんぷりをしている。

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集団的自衛権とおんなじ

 話は思い切り飛躍するんだけど、僕は「集団的自衛権」って、何かこの話と似ている気がしてしょうがないんだな。

 もしイラク戦争だったら、(結局無罪の)イラクが私たちで、おばちゃんがアメリカ、牛飼いのオヤジが当時のイギリスみたいじゃない。

 是非にかかわらず(というか吟味せず)、忠犬のように親分さんと一緒に戦いまっせ!という感じに思えてしまうんだな。

 結局、やられたほうがいつまでも恨みを抱く。

 (実際イギリスはテロに遭ったしな〜〜)

 私が体験した些細な事件ですら、ずっと長い間わだかまりやしこりを残している。

 ましてやそれが「(自分と関係ない戦争で)相手を殺した」ということだったらどれほどの恨みを残すものやら。。。

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本読んで勉強しよう

 私たちはいろんなことで、それしか方法がないんだと信じ込まされているんじゃないのかな〜。

 お手軽なネットの情報「あおり」だけ得意だからね〜。

 なので今、ネットじゃなくてこの辺のことを書いた専門家の本をあれこれ読んだり、近現代史の本を読んで勉強し直してます。

 そうするといろんなことがわかってくるし、急いで危険なことをすべきじゃないと思えてくるよ。

 副作用がどれほどのものかよ〜く想像してみないとね。

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 最近思うんだけど、マスコミもネットも「あおり」のような記事が多くなってきたね〜。

 そんな軽薄な記事を離れて、熟慮して書かれた良書で勉強し直すことが、多くの人に求められているんじゃないのかな〜。

 ネットにある情報は「断片」だけ、一冊200〜300ページもの本で得られる情報とは比較にならないよ。

 いい歳した大人なら特にね。

 そうしないと「お国」も「われわれ」も犬みたいになるんじゃないかな〜。

 あっちの犬が吠えているから、俺たちも(同じ犬になって)負けじと吠えよう!って。

 それで何か解決するなんて僕は思えないな〜。

 (あおりやさんたちって、本当の本当は、対立を解消なんてしたくないのかもしれないけどね)

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 この機会に、(ネットじゃなくて)じっくりいろんな良書を読んで「近現代史」とか「新しい安全保障の考え方」とかを勉強しないとね〜。 

 なにもしないのと、我慢してよりよき方法を探すのは、似ているけど全く違うことだとおもうんですよ。

 仕事において「改善の鉄則」とはこう言われています。

 現状の問題点を把握し、原因を「なぜ?」「それはなぜ?」と階層的に探っていく。

 5階層くらい繰り返すと真の原因にたどりつく。その裏返しが対策となる。

 だから改善対策とは求めるものではなく、真の原因からひとりでに現れてくるものである。

 まずは、深く詳しく知ることからはじめないと、的外れの対策になってしまいますね。 

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 最近読んで参考になった本をいくつかあげておきます。(読書中の本もありますが)

 『「平和国家」日本の再検討』(岩波現代文庫)
 『「尖閣問題」とは何か』(岩波現代文庫)
 『集団的自衛権の深層』(平凡社新書)
 『憲法九条の軍事戦略』(平凡社新書)
 『明治維新を考える』(岩波現代文庫)

ノボ村長の世相天気図
 お笑い回転寿司
 甲子園と119番
 呪文のような挨拶
 痒い社会、痛い社会
 女のはなし、男の話
 天野祐吉「霊界天気図」