ノボノボ童話集「無敵の鎧」

 秋の夜のひまつぶしです。いつか漫画の童話集でも出そうかな〜と思ったので、時々ネタを書いておくことにしました。

ノボノボ童話集

無敵の鎧

 神様は彼に「無敵の鎧」を与えた。

 それはどんな攻撃にも耐えられる鎧(よろい)。

 しかし一回使うたびに一年寿命が縮まるという。

 当たり前だが、彼はよほどのことでない限りその鎧を使うことはなかった

 しかも、信心深かった彼は、一度も自分のために使うことはなかった。

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 10回目を使ったとき、彼は老いた自分を鏡に映して思った

 あと数回も使えば、いよいよこの世とおさらばにちがいない。。。

 もうこの鎧を使わないようにしなければ、と。

 しかし、やむをえず人を守る事態が次々と起こるのである。

 自分の寿命などもうどうでもいいと思って、彼は何度も鎧を使った。

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 しかし死なないのだ。

 なんと彼は百歳になろうとしていた。

 身体の衰えもあまり感じない。

 彼は自問した。

 俺のもともとの寿命はいったいどれほどだったんだ?

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 彼に「無敵の鎧」を渡したあの日、

 オッチョコチョイの神様はつい言い忘れてしまった。

 「一回使うたびに一年寿命が減る」のは

 「鎧を自分を守るために使ったときだけで

 それ以外は逆になるからね」

 ということを。。。