空を飛んだ話

 私が初めて「空」を飛んだのは高校一年生のときでした。えっ? 久しぶりに『思い出アルバム』からのスナップです。
 自転車の思い出話はあれこれいっぱいあります。高校一年生の夏には「スタンド・バイ・ミー」のような四人組で「ほぼママチャリ自転車」で十和田湖をめざしました。「ちぢんだ自転車」にはそのときのエピソードを書きました。

 実は同じ年の秋、もうひとつの自転車物語があったんです。涙、涙の・・・。


空を飛んだ話

 
 季節はもう秋、向かい風も強くなってきた。私は、この夏十和田湖へ一緒に向かった同級生の一人と、毎日自転車で高校へ通っていた。片道約8キロ、風のない日や追い風のときはビュンビュン!自転車に勝る快感はないだろう。ところが、向かい風のときにはその反対・・・。遅刻回数学年一のわれわれなんで、これ以上の記録更新許してならじとあせってペダルをこぐ!こぐ!


 夏の冒険旅行も終わった秋の朝、その日はあいにく強い向かい風だった。脚力のある相棒の同級生が先頭を走り、私は彼の後ろタイヤだけを見ながら走り続けていくのがお決まりだった。彼が風除けとなるのでなんと楽なこと!


 そんなラクチンしようとしたから罰が当たったのだろうか?突然、私の目の前から彼のタイヤが消え、と同時に異様な物体が目の前に!! あ〜〜〜〜・・・・・〜〜〜〜〜〜! 私はそのとき初めて「空」を飛んだ!


 目の前に現れたのは、国道に堂々と止めてあった「リヤカー」だった。そのリヤカーに思い切りぶつかり、私は空に投げ出され、リヤカーを超えて空中を飛んでいったのだった。 落ちたのは「顔」から・・・「グキッ!」といやな音がして、口から血と、自慢の大きな前歯が欠けて出てきた。


 同級生はまったく知らずにはるか前を走っている・・・どこかでこんな光景があったような気がする・・・。そうだ!今年の夏、十和田湖サイクリングで同級生が止まってたダンプに追突したのを知らずに走っていた俺の姿だ・・・あの時と同じように、今度も同級生には車の人が教えてくれた。


 幸いだったのだろうか?ぶつかった場所は歯医者の前だった。すぐに駆け込んだら、すぐに歯を抜かれた。そのころは「仮歯」とかそんなものはなかったのだろうか? その後約一年間「歯抜け」状態だった。男子校でよかった・・・


 社会人になってから、今度は車で車に追突した。そのときも、どういうわけか追突した場所には車屋があった。そのまま事故車を回収してもらい、その日のうちにその車屋で新車を買うはめになってしまった。なんて同じような事が続くのだろう。人生ってやつは。

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