最強論壇誌「通販生活」

 <この号の「通販生活」のCМは、民放テレビ局から拒否されたそうだ。「最強の論壇誌」の証明?>高橋源一郎さんが昨日の朝日新聞に書いていました。もちろん現在のマスコミに対する皮肉です。

こちらをクリックすると問題とされたCMを見ることができます。(30秒)
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=tHZCqbL1Ek8

 カタログハウスって気骨と勇気のある会社ですね〜。こんな会社があと百社あれば日本は大丈夫じゃないか?とこの記事で変な(?)希望を持ちました。

 それでは高橋源一郎さんのお話をどうぞ。

 この秋、もっとも充実した「論壇」誌は「通販生活 秋冬号」ではないか。「えっ?」と思われるかも。だって、通販専門のカタログ雑誌なんだから。けれど、日本地図の上を原発マークがひしめく表紙や、そこに重ねられた「一日も早く 原発国民投票を。」という活字を見ていると、なんの雑誌だかわからなくなってくるだろう。

 中身もとびきりだ。表紙をめくると、いきなり22年前の特集記事が再掲載されている。そこでは、菅直人を相手に女性たちが「原発をつぎの選挙の争点にしてください」と申し込んでいるのである。先見の明がありすぎだ。内容もたっぷり。「原発国民投票のための勉強」では飯田哲也を筆頭として専門家がレクチャーを繰り広げ、河野太郎や原子炉設計者の後藤政志(が、原発震災について語る。その一方で「震災報道の影で忘れかけていた6つの問題」として沖縄・普天間問題から秋葉原無差別殺傷事件までを論じている。いや、そればかりか「日本のエセル」、今年96歳反骨のジャーナリストむのたけじのインタビューまで載っている。まるで論壇誌みたい。

 でも、違うところが一つある。(当然のことだが)商品のカタログが掲載されているのだ。たとえば、巻頭特集でとりあげられているのは、ガスで炊く(すなわち、電気を使わない)「かまどご飯釜」。次の特集「脱原発時代の暖かい暮し」で、推薦されているのは「カーテン内部に空気を溜(た)めて窓から逃げる熱を遮断する」「エアサンドカーテン」。さらに、その先の「メイド・イン・東北」で売っているのは、「気の毒だから買ってあげよう」ではなく「品質にこだわって」選んだ、東北の品々なのである。

 論壇誌は、その国(世界)の行く末をめぐって考え、青写真を提示する。「通販生活」にも論考や解説はある。だが、この雑誌は、それ以上のものを提供しようとしている。それは「ライフスタイルの提案」にとどまらないなにかであるように、ぼくには思えた。ちなみに、この号の「通販生活」のCМは、民放テレビ局から拒否されたそうだ。「最強の論壇誌」の証明?

 思い出すことがあるんです。今はどうだかわかりませんが、私たちが社会に出た頃は「何々系」の世の中でした。

 「あの会社は何々系だから車は何々、ビールは何々、そっちの会社は何々系だから車は何々、ビールは何々」

 大きな会社と大きな取引をしている会社だと、乗っていく車のメーカーも、宴会で飲むビールの銘柄も、みんなそのつど切り替えていました。あたりまえのようにして。

 今も似たような感じが残っています。それは「経団連」です。孫さんがtwitterでたまげてました。「みんな原発推進一直線」つまりすべて「原発系」なんだそうです。

 会員企業の顔色ばっかり見る、つまり「空気を読む」人たちばっかりなので「KYではない(空気読むだけの)大人になっちゃいけない」とも書いてました。

 あんまりひどいんで、経団連を辞めようかとも思ったそうですが、経団連というか経済界全部が原発維持・推進ではないということを知ってもらいたいということと、経団連の内側からも反対の声も上げていかなければ・・・と思い、残ることにしたそうです。

 でも、「通販生活」のこの程度のCMを出せないようなマスコミは経団連よりもっとひどい。

 真のジャーナリズムはもう既成のマスコミにはありません。

 マスコミは名前を「○○新聞広告屋」「××テレビ広告屋」と書き換える時期が来ているようです。