オヤジはこれだけあれば大満足。それは「蕎麦」に「鮨」に「時代劇」。時代劇といえばチャンバラですが、実はほとんどなかったという嘘みたいな話です。
テレビのBSでは毎日時代劇のリバイバル放送中です。
時代劇の華といえば、やはり最後に出てくる正義の剣豪「めった斬り」!
こんな場面ばっかし見ているので、私たちは、江戸では刃傷沙汰が毎日のようにあったんだろうな〜と思っています。
ところが。。。実はその正反対だったらしいんです。
なにせ江戸には(今で言う)正規の警察官は全部で24人しかいなかっんだそうですよ。(町人人口が50万人以上なのに)
石川英輔著『大江戸生活事情』を読んでびっくりです。
江戸の警察官はたった二十四人
・・・町(方)与力というのは、町奉行一人に二十五人ついている士官のような役で、もちろん徳川家の家臣である武士だが、実際の仕事は武官というより文官にふさわしい事務の仕事が多かった。
同心は、この説明にもあるように与力の部下として働くのが普通であるが、与力の支配下にない独立した職種もあった。それが、江戸市中の治安を担当する警察官、俗に(三廻り)といわれた「定町廻り」略して「定廻り(じょうまわり)」と「臨時廻り」「隠密廻り」の三役だった。
三廻りは町奉行に直属していたので、下級武士である同心としては最高の地位でもあった。
このうち、毎日市中をパトロールして歩くのは、定町廻同心だけなのだが、驚くなかれその人数は南北両町奉行所にそれぞれ六人。わずか十二人しかいなかった。この十二人は、奉行所の月番、非番に関係なく、毎日決まったコースを重複しないようにパトロールしていた。
臨時廻同心も十二人いたが、こちらは定廻りを務め上げて五十歳以上になったベテランが、定廻りの見落としがちな部分を見て廻る。隠密廻りは、臨時廻りを務め上げた中から選んで任命されるので、犯罪人を逮捕することはなく、町奉行直属の情報官のようなものだった。大変な調査能力があったということだ。
いずれにせよ、普通の警察の仕事をする正規の警察官が全部で二十四人、いわゆるお巡りさん役は、たったの十二人しかいなかった。空前絶後の弱体警察というほかない。町人人口が五十万人以上あった世界的な大都会にそれだけの警官で、よくも治安を維持できたものだと感心する。
中には、「なるほど。だから、テレビの捕り物帳みたいに殺人事件ばかりが起きているのか」と早がてんして納得する人もいるかもしれないが、実際はその反対で、江戸はおよそ犯罪の少ない町だったから、わずかな人数の警官しか必要なかったのである。
テレビの捕り物帳と違って、殺人事件などせいぜい一年に一度あるかないかで、時代はやや古いが、享保年間(1716〜36)には、伝馬町の牢屋に被疑者が一人も入っていなかった時期があるという説があるほどだ。
・・・警察庁の『警察白書』を見ると、昭和六十年度(1985)の人口10万人当りの国別の強盗件数は、アメリカ208.5件、フランス107.4件、イギリス55.2件、西ドイツ48.7件に対して、日本はわずかに1.5件。一桁間違えているのではないかと何度も資料を見直したほど少ないのである。
江戸の治安がわずか十二人とか二十四人とかの警察官で維持できた理由は、基本的には同じ民族が寄り合ってのんびり暮していたからだが、犯罪が起こりにくいようなさまざまな組織が作ってあったからでもある。
まず、一つの町には「自身番」という町内会の事務所のような小屋が一カ所あった。
これは、地元で維持しているのだが、交番と消防と区役所の出張所のような役目をはたしていた。社会が単純だから、今のようにこまかく分業する必要がなかったのである。
自身番は、あまり厳めしい場所ではなかったらしく、中で将棋を指している絵などが残っている。どうせ事件などめったに起こらないのだから、手頃な集会場としても使われていたのだろう。近所の者が寄り集まって酒宴をもよおしたりしたので、奉行所からたびたび綱紀の乱れを注意されている。
高度成長期の日本では、何でも(国)がやるべきだ、(自治体)がやるべきだというのがはやった。
その結果として、予算がとめどなく膨張し借金財政になってしまった。もちろん、無から有は生じないから、ツケは結局われわれが払うことになる。
民間のことはできるだけ民間で処理した方が、効率の悪い官僚機構にまかせるよりはるかに安上がりにできることを、先祖はよく知っていたのだ。
石川英輔さんや、杉浦日向子さん、田中優子さんらの本をあれこれ読んでいると、江戸時代について、実に私たちは偏見のかたまりだな〜と思えてしまいます。
明治時代になって大急ぎで西洋の真似をするしかなかった日本のトップ層が、意識的にそう仕組んだんでしょうね。
まるで大都会に出た成り上がりが、洗練された?都会の人間にコンプレックスを持って、自分の故郷である田舎や方言を恥と思って隠したように。
(ま〜私も人のことは言えませんけど。。。)
今や、江戸の生活、文化、考え方を真剣に学ぶべき時代になったと私は思っています。
本文中にはこのような記載もありました。
しかし、江戸時代とはいわず、ほんの30年ほど前の昭和三十年代はじめ頃までの日本人の家の中での生活は、電灯とラジオがあることを除いてこれとあまり違わない状態だったことを忘れてはいけない。(注:この本は1993年刊です)
そう、三丁目の夕日時代を振り返ることが、江戸時代を想像するということにもつながるということらしいのです。
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参考(江戸時代関連)
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粋に暮らす言葉
武士道の「きも」
贈与社会が一番安上がり
2050年は江戸時代
江戸の洗濯にびっくり!
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時間が伸び縮みした社会
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