超ワイルドハウス!「土の家」

 私は最近、自分は「変人」かもしれないと思い始めていました。身体が不自由なくせに原始的で不便な生活に心惹かれるからです。ところが昨日、その上を行くおんつぁんたちと出会いました。
 一週間くらい前に、東松島の石森さんから「土の家」について教えられました。

 なんでも3.11震災のボランティアに来ていた長崎出身の建築業を営んでいた方がこちらに住み着き、今「土の家」作りをしているんだそうです。

 クリスマスに仮設住居の子らを招いてパーティーをするから、よかったら見に来ませんか、とご招待されました。

 スモールハウスやタイニーハウス、自然派シェアオフィス構想など、原始的企画を心密かに練り続けている変人の私は、「ぜひ!!」とお願いしました。

 そして昨日、相棒のクマさんといっしょに、とっても不思議な「土の家」を見学に行きました。

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 さて「土の家」とはそもそも何か?

 このプロジェクト主宰の菅原康弘さんの名刺にはこのように書かれていました。


「NPO法人太陽と風の夢楽園」(申請中)

 土をこよなく愛する旅人 

 理事長 菅原康弘

 アースバッグとは、土嚢に土を詰めて積み上げ構築していく工法です。

 そして私たちはアースバッグハウスのデザイン・設計・施工まで行う団体です。

 私たちの想いを詰め込んで積み上げるドームはデザインもインパクト大、これから注目を浴びる家となるでしょう。

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 お昼少し前に、途中で道案内に来てくれた石森さんの車を追って現地へと向かいました。

 石巻市須恵地区の丘陵地帯に「土の家」はありました。

 建築途上ですので、まるで災害復興現場?のような実にワイルドな状況で、それゆえインパクトがすさまじいものです。

 さっそく中に入らせてもらいましたが、少年少女の姿はなく、ただひたすらおんつぁんたちだけ!!

 クリスマスパーティーは何かの理由で中止となり、代わりにこのプロジェクトのメンバーでバーベキューパーティーをしているということです。

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 天上は青天井ならぬブルーシート、しかし中には巨大な独自様式のロケットストーブやドラム缶で作ったバーベキュー用のかまど。。。

 中にいるおんつぁんたちはみな私と同世代かその周辺の世代のようです。

 皆もくもくと牛肉、牡蠣、イモなどを焼いています。


(このロケットストーブは火力が強力で優れものでした。奥のドラム缶の中にはコンクリート抗が入っています)

 さらにおにぎりやたくあんゆで玉子などもまわってきます。

 腰掛ける場所が空いていなくて、私もクマさんもずっと立ちっぱなしで、これらの食べ物をいただきました。

 とくに殻付きの牡蠣はたくさん焼かれていて、渡された軍手をはめながらハフハフと大いに舌鼓をうちました。

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 食べながら、主宰の菅原さんにあれこれ話を伺いました。

 菅原さんは天才的にブッ飛んでいます!


(正面で手を上げている方が菅原氏)

 この「土の家」は世界のあちこちで作られているんですが、ここが最大級の建物になるらしい。

 というのは、今一階部分で直径8メートル30畳ほどの広さがあるのですが、この上に階を重ね来春には三階建て、しかもてっぺんにはツリーハウスまで作るというんです。

 三ヶ月前にこのプロジェクトをスタートさせ、菅原さんと相棒のお二人でほとんどを作ってきたそうです。

 しかもこの敷地内で車に寝泊まりしながら。

 これまでに使った土嚢は2800体、一体20キロくらいあるそうです。

 土に石灰とか混ぜ突き固めて堅くするそうですが、積み上げることにより圧縮されて強度が増し、なんと鉄筋コンクリートよりも強く、木造の8倍もの強度があるのだそうです。

 最終的に使われる土嚢の数は8千体、積み重ねた土嚢には土壁を塗ってきれいに仕上げるようです。

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 雑然とした室内では想像が難しいのですが、実は奥の方はステージになるそうで、「土の家」に興味を持つ外国の超有名ミュージシャンたちに演奏してもらうのだと豪語しておりました。

 さらにモンゴルのパオに似た構造でもありますので、白鳳関も呼びたいとも語っていました。

 実に夢の大きい方ですが、ミュージシャンやアーティストもいわば「変人」の仲間ですし、被災地のためと思ってきてくれる有名人は多いかもしれません。

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 それにしてもいい歳をしたおんつぁんたちが、このようなブっ飛んだ企画に喜んで協力するとは驚きです。

 これは「少年の心」を持ったオヤジたちはまだまだ多い、ということではないでしょうか。

 とても嬉しいことです。

 何の役に立つかわからないが、とにかくなんとなくおもしろい、秘密基地みたいでいいぞ、という「遊び心」です。

 そのことがとても嬉しく感じました。

 私も「自然派シェアオフィス」を具体化するときが来たら、敷地内に「土の家」も作ったらきっとおもしろいぞ!とワクワクしました。

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 一時間ほどの立食パーティー(?)、帰るときが来ました。

 おみやげに殻付きの牡蠣をたくさんもらい、春の完成までの間何度か来ることを約束して、このとってもワイルドな「土の家」を後にしました。

 満腹の腹をさすり、服にたっぷりと煙の臭いをしみこませて。

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 YouTubeで「アースバッグ工事開始!」と入力し検索すると、工事の各段階がシリーズでアップされています。

 ご興味ある方はぜひご覧ください。

 シリーズの中から、だいぶできあがった段階の映像をひとつ紹介します。