「さくら一座」が巡業中

 茨木のり子さんの詩です。「あでやかとも妖しとも不気味とも」、さくらは実に奥深き花です。。。
 南から北へ巡業を続ける「さくら一座」をどの地方の人も心待ちにしています。

 きのう車であちこち走ったら、ここ宮城県北の大崎市でも数カ所で桜が咲いていました。

 今年の一座は例年より10日も早い!

茨木のり子『おんなのことば』より

さくら

 今年も生きて

 さくらを見ています

 ひとは生涯に

 何回ぐらいさくらをみるのかしら

 ものごころつくのが十歳ぐらいなら

 どんなに多くても七十回ぐらい

 三十回 四十回のひともざら

 なんという少なさだろう

 もっともっと多く見るような気がするのは

 祖先の視覚も

 まぎれこみ重なり合い霞(かすみ)だつせいでしょう

 あでやかとも妖しとも不気味とも

 捉えかねる花のいろ

 さくらふぶきの下を ふららと歩けば

 一瞬

 名僧のごとくにわかるのです

 死こそ常態

 生はいとしき蜃気楼と


 どんな人も、永遠にさくらを見続けることはできません。

 私も、あと何回さくらを見ることができるのだろう。。。と、ふと考えてしまいます。

 そして遠い未来の日本でも、さくら一座の巡業が続いていればいいな〜思います。