勇気あるな〜!梅原真さん

 『ニッポンの風景をつくりなおせ』を買いました。最近NHKで放映され話題となった、あの「田舎限定一次産業デザイナー」梅原真さんの画・写真文集です。そこには勇気ある提案が。さすが土佐の「いごっそう」、気骨あります!
 2月21日のブログ「窓」を一緒につくる人で紹介した、あの高知県四万十川にアトリエを構え、農林漁業と地方に関する仕事ばかりを引き受け、次々とヒット商品を生み出しているという、あの梅原真さんです。

 この本は、梅原さんのデザインだけを「ほらいいでしょう!」とでも言うように、写真で羅列したものとは違います。

 デザインの前にある生産地、生産物、生産者の「原風景」ともいうべき写真や物語が半分以上も占めています。

 この本の構成自体が梅原さんのコンセプトを表しているようです。

 さて、ぱらぱらページをめくっていたら、こんなデザインと会いました。

【原発の町】

2003年、新潟県刈羽部高柳町は、柏崎市と合併した。高柳町のじょんのび課長春日さん(52歳)は、柏崎市観光課長になったと伝え聞いた。小さな町のじょんのび課長が、真逆の巨大テーマに立ち向かっている姿が浮かんだ。

そんなおり。春日さんからなつかしい新潟弁の電話が入った。「中越沖地震の大被害後の観光復興のために力を貸してほしい!

柏崎といえば「げんばつ」。大きなテーマをかかえる町だ。わたしにとっても憂鬱なテーマだった。

柏崎に打ち合わせに向かうまでに、勝手にラフ案を作ってみた。

「げんばつにげんこつ」。みごとな傑作。

ときどきパートナー池田あけみのコピーである。「問題だよねゲンパツは」という社会意識を底辺にした問題作であった。軽いタッチでイラストを添えた。

柏崎市役所でおそるおそるラフスケッチを見せた。春日さんは「地震のあとすぐだったら面白かったネ」とかわした。(うまい!)

中越地震から1年もたとうとしていた。寝た子を起こしては観光復興にはならなかつた。

この案はもちろん「ボツ」となった。

だが、ワタシは今でもこのラフ案がお気に入りなのであった。

依頼人:なし

 最後の「依頼人:なし」が彼の真骨頂を示しているようです。

 観光復興のキャンペーンポスターが、なんと!「原発反対」。

 実にすがすがしいな〜!

 スポンサーの奴隷じゃないんです。卑屈じゃないんです。

 「彼のように自分の信念を曲げず仕事ができたらいいな〜」とみんなも感じることでしょう。私もそうです。

 そして皆、こうも思うでしょう。

 「人に使われず、田舎暮らしで自由気ままに仕事を受注して、それで金が入り、好きなことやってる彼にしかできないのさ。俺らにはしょせんムリ、ムリ。。。」と。

 そのとおりでしょう。でもどうして私たちはそうできないのかな〜と考え直してみることも必要ではないでしょうか。

 世の中というものが、最初から「ムリが道理」しか成り立たない世界だなんておかしいですよね。

 イチかゼロかじゃなくて、今の仕事に梅原流を少しづつでも取り入れていくことはできるんじゃないでしょうか?

 早く「家畜」や「社畜」の優等生から脱却しないと、私たちのケツには、今にしっぽが生えてくるかもしれません。