故黒川紀章氏は大そうな建物だけ設計したのかな〜と思っていたら、意外や意外とてもユニークなスモールハウスも造っていたんですね。土曜日、実際に見てきましたよ!
その名は『中銀カプセルタワービル』 (中銀=なかぎん)
眠れぬ夜にi-phoneで遊んでいたら偶然見つけたこの建物、いても立ってもいられなくなって、翌日日帰りで見に行きました。
ついでに(こちらが主目的かも)、青山のワタリウム美術館で開催されている坂口恭平さんの「新政府展」も見てきました。
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さてこの建物は、なんと今から40年も前、1972年に東京の汐留に建てられた、いや積まれた?ユニークなビルです。
今でも人が居住しています。
私が思うに、これは半世紀早すぎた建造物ではないでしょうか?
そのせいか、熱狂的なファンもいるようでこんなブログもあります。住んでる人も部屋のカスタマイズもとてもユニークです!
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当時黒川氏は「メタボリズム」というコンセプトの建築理論を展開していたらしく、その象徴とされる建造物のようです。
メタボと聞いて、「どこも膨らんでいないじゃないか?」と思うのが我々オヤジ族に共通した反応でしょうが、意味は異なるようです。
「社会の変化や人口の成長に合わせて有機的に成長する都市や建築様式の提案」ということらしいです。
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この建物は、一棟10平米の住居ユニットを積み重ねてひとつのビルにしています。
もし劣化して交換したい場合とかは、カプセル単位でそれができるようです。
私はこのカプセルのデザインに惹かれました。
四角い箱に大きな丸窓一個だけ。
何か、宇宙船の居住ユニットを思わせます。
しかも、たった10平米で一通り生活できる設計が為されているという、その超合理性。
10平米といえば約6畳です。江戸時代の長屋と大体同じ面積らしいです。
値段がまた合理的です。
当時のカローラ一台分が製造コストなんだそうです。
私が19歳の頃のカローラはいくらだったでしょうか?
たぶん100万円くらいではなかったでしょうか?
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さて、このカプセルの実物が「埼玉県立近代美術館」に展示してあると聞いて、そちらにも行ってきました。
北浦和にあるこの美術館は黒川氏の設計で建てられたそうです。
その縁があってか、彫刻の庭園の中にかなりの面積の土地を与えてもらって、このカプセルが鎮座ましましておりました。
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中をのぞくと40年前を感じさせません。
まるで「2001年宇宙の旅」のディスカバリー号の居住ユニットや作業ポッドを彷彿とさせられます。
巨大な丸窓一個のために造られたカプセルといえるかもしれません。
この丸窓から見る都心の眺めは、面積が狭いことなど超越してしまうことでしょう。
ベッドのオープンリールテープデッキが時代を偲ばせます。
カプセルに書かれたこの建造物のコンセプトです。
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スモールハウスと聞けば、田舎暮らし、安普請、自然素材、簡素な生活、原始的、などの言葉が近いものに感じる人も多いでしょう。
しかし、スモールハウスとはもっともっと広くて深いコンセプトを持てるものだと私は思っています。
それは、都市部にも田舎にも有効なニュースタイルの象徴というか、基本インフラになり得るものだと思います。
黒川氏も約半世紀前にそんなことを考えたのでしょう。
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今から10年後くらいに、氏の考えは現実味を増すように思えます。
なにせ低成長が当たり前にならざるを得ない近未来、家賃や持ち家がこんなに高くては社会が成り立たなくなるでしょう。
江戸の長屋の家賃は大工の日当一日分だったそうです。今なら1万円です。
このカプセルユニットを買ったとしたら、たぶん車一台分150万から200万円くらいでしょう。
これが、さらに快適な居住空間であるなら、人は住まいの奴隷にならず、「住む」ということをを空気や水に近いものとして生きることができるでしょう。しかも愉しく。
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冒頭で紹介した坂口恭平さんの思想の原点もそこにあります。
かたや黒川氏という「セレブの建築家」、その反対に位置する坂口恭平という「マルビの建築家」。
しかし、私は二人にというかこのカプセルタワーに共通なコンセプトを感じるのです。
それは「新しい社会モデルへの大胆な挑戦と試行」です。
機会をあらためて「坂口恭平 新政府展」のことも書きたいと思っております。
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最後にもうひとつ。
東京はまだ江戸だ!
江戸時代、旨いものがあると聞けば、男女とも二里(8キロ)ぐらいは平気で歩いて行ったらしい。
私もこの日帰り旅行でずいぶん歩くこととなりました。ヘトヘトです。足が悪いのでとても大変でした。。。
東京に住む人は、日々これくらい平気で歩いているかと思うと、たくましくなければ都会では生きられない、ということを実に感じさせられた一日でした。
参考
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