学校の主役は「先生」「生徒」?、町の主役は「役場」「住民」?、国の主役は「国家」「私たち」?
私も(少し)そうでしたが、多くの人たちも、もしかしたら勘違いしているのでは?と思うんです。
とりあえず、冒頭の二択に対する私の「正解」はこうです。
主役は「生徒」です。主役は「住民」です。主役は「私たち」です。
そして、心強いことに?現行憲法もその立場です。
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昨今、憲法九十六条、憲法九条の変更が政治家稼業の方々から突きつけられています。(「改正」ではなく「変更」と書いていきます)
あれこれ言いたいことや、感情的に不快な点はあります。
しかし、今までは空気のような存在だった「日本国憲法」について、その真髄を確認する、あるいは発見するよい機会にはなりました。
私は(変更がされなければ)「けがの功名」みたいなものだと思っています。
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さて、憲法九条だけが論点かと思っていたら、そうではなかったということに気づきました。
憲法九条はたしかにユニークですが、結果的に日本の最強の防衛力でありました。
これからもそうであると私は強く思っています。
そのユニークな憲法九条を変える手段として、まずは発議要件のハードルを下げようというのが憲法九十六条変更の目的のようです。
ですから憲法九十六条の変更は憲法九条変更と一体であると考えていいと思います。
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ところが、(自民党の)政治家たちが挑戦していることには、もうひとつトンデモナイものがあるらしい。
そしてそれは憲法の基本的性質、世界の歴史が育んできた立憲主義の理念にも挑戦しているらしいということがわかりました。
それが憲法九十九条の変更です。
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まず、良き驚きです!
なにがって?
現行憲法九十九条に書かれていることがです。
第九十九条[1] 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
「憲法を尊重し擁護する義務を負う」に国民は入っていないのです!
憲法というものは、国民が権力者でもある為政者に対して、その暴走をふせぐために課した義務である。
そのことをズバリ宣言してくれている(ありがたい)条項であるわけです。
この憲法を元にできた諸法律や諸条令は、為政者も住民も等しく守る義務がありますが、憲法は私たちが主役で為政者に守らせる立場にあるのです。
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ところがです。こんどは悪い驚きです!
それは自民党の99条改憲草案です。(条文の追加や削除で99条は102条に移っています)
第百二条 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う
ふたつ「びっくらこいた〜」があります。
ひとつめは、「国民」に憲法尊重義務を課していることです。
国民が「為政者たち守れよ!」と課したはずの憲法を、逆に為政者が国民に与えたように「おまえたち守れよ!」です。
誰が与え誰に課すのかが反対になってます。これじゃ逆噴射です。
ふたつめは、「天皇又は摂政」を憲法尊重擁護義務から外している点です。
これだと天皇陛下の下に憲法がある。つまり「国民主権」から「天皇主権」へ復古の大宣言ですよ。。。
これって「大日本帝国憲法」へバック・トゥー・ザ・フューチャーじゃないですか!
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なんでこんな主役をひっくり返すようなことを考えるのでしょう。
それは、自民党の政治家は世襲議員がとても多くいて、国政を「家業」のように考えているからではないかと思います。
そうでなければ、いつかは「国民(平民)」の立場に戻るので、為政者に主役を渡す発想など絶対しないはず、と私は思うんですよ。
私たちも、「隣国になめられてはいやでしょう!」「強い軍事力のためには犠牲も必要でしょう!」という脅しにはめられないようにしないといけないと思います。
憲法の基本を変えることが、それらの問題を解決することに直接つながらないこと、逆に危険であるということをもっともっと想像すべきだと思います。
参考
内閣主導の改憲騒動、そもそもはじめっから本末転倒では?
(中略)内閣に憲法改正案の提出権がないということは、内閣が憲法を忠実に実行すべき機関である、憲法を否定したり、あるいはまた批判したりすべき機関ではないという趣旨をあらわしているのだと思うのであります。
憲法の改正を論議するのは、本来国民であります。内閣が国民を指導して憲法改正を企図するということは、むしろ憲法が禁じているところであるというふうに私は感じております。
(中略)元来内閣に憲法の批判権がないということは、憲法そのものの立場から申しまして当然でございます。内閣は、けっして国権の最高機関ではございません。
したがって国権の最高機関でないものが、自分のよって立っておるところの憲法を批判したり否定したりするということは、矛盾でございます。こうした憲法擁護の義務を負っているものが憲法を非難する、あるいは批判するということは、論理から申しましてもむしろ矛盾であると言っていいと思います。
― 第24回国会 衆議院内閣委員会 憲法調査会法案公聴会にて公聴人・戒能通孝